幾度となくメンテナンスしてきたPA-300IIを、これまでのカスタム経験の集大成として、仕上げてみました。
やはり、カップリングのないPA-300シリーズは、その素直な、広がりのある音にはいつもびっくりさせられます。
そんなPA-300IIを当方なりに、電源のノイズを抑え、ゲインを現代にあわせて少しカスタマイズ。PA-300IIの隠れたゲイン調整の秘密も最後にお届けしています。
はじめに
ナカミチのアンプでもDCストレートは、このアンプだけでしょうか。
ゲインも入力を絞るのではなく、フィードバックにて対応しています。
(すなわちゲインをいじるとアンプの表情が変わるということにもなります。)
仕様
他のシリーズの仕様一覧です。
出力も75Wで通常に使う分には十分なパワーがあり、歪や、SN比は、後継機種よりも優れています。
外観
PA-300IIは、LowCut(High PASSというより、Low Cutの方がしっくり?)の入力がついています。
今回、この特性も測定してみました、
内部基板
基板は、電源とアンプ基板(L/R)の三枚構成になっています。
小さなアンプに大きめの電源の構成です。
カスタマイズ検証
何度もカスタマイズしていますので、Before・Afterの比較にてカスタマイズのを検証します
電源入力
電源は、入力と一次側(スイッチング直下)の確認です。
一次側は、1V以上の振幅があったものを、なだらかにして0.5V程度に程々に抑えています。
また、入力端子のノイズは、ちょっとした追加のセラコンで、ほとんどノイズ漏れがなくなります。
一次側対策経過
一次側のリップル特性は、電解コンデンサの交換でもある程度は、効果はあるのですが、過渡的なノイズは、セラミックコンデンサ等が必要になってきます。
高分子(OSコン)等の複合により、効果的に低減することができました。
二次側(電力)
PA-300は、フィルタが装着されていないので、何度もいろんな方法を試してきました。
やっと、ほどほどになりました。
ディスクリートのセラコンは、そのリードのESRによりスナバ効果があり、組み合わせると効果的でした。
二次側(電圧)
電圧用もその尖塔波形が厳しいです。
これも、効果的な、組み合わせ方法で、合理的に抑えることができました。
OpAmp電源
OpAmpの電源は、誘導と反射のノイズが観測されると考えています。
エネルギーは小さいので、セラコンで抑えることができます。
出力波形
最後に、微小出力と周波数特性を確認します。
微小出力
ナカミチは、ノイズが少ないので、-80dBの状態で確認できます。
(海外のアンプは-60dBで10倍違いますが、それは、目指しているところがちがうためですね)
細かなヒゲがとれ、改善しているのが分かります。
周波数特性
最後に周波数特性を確認します。合わせてLowCutの特性もかくにんしてみました。
LowCutは、100Hz以下に効いてくるようです。フルレンジ+サブウーファの構成にぴったりでしょう。
高域は、100kHzでも-3dB以内、周波数特性は、10~100kHz(-3dB)の特性と言って良いでしょう。
まとめ
何度も取り扱っているPA-300IIを極上の状態にしあげてみました。
少し歴史のあるアンプですので、ゲインを少し落とし、使いやすくしています。
この他細かなカスタムをしています。
基板状態
基板は、突飛実装はせず、スッキリしあがっています。
基板配線強化
オリジナルも、電源の配線強化をケーブルで行っています。
単線の銅にて配線を行い、コンデンサの並列化を強化しています。
ゲインについて
多くのパワーアンプは、下記略図の様に、パワーアンプの前段で、ゲインを調整しています。
NFBは、電力増幅部、もしくはその前段に帰還させている場合が多く見られます。
一方PA-300IIは、下記略図の様に、この帰還の量でゲインを調整しています。
シグナルラインにボリュームが入っていません。もちろんカップリングもありません。
PA-300IIのゲイン調整は、
ゲインを下げる = NFB量が増える
ということになります。
ゲインで、NFBの量の変化で音の変化も楽しめることになります。
なかなか、無い特徴で、とてもおもしろく、使い方によっては、アンプの表情が一変するのではないでしょうか。
PA-300のゲインは、27dBで、PA-300IIは27dB~39dBなので、最大のNFB量が設計値ということになりそうです。
最後に
最後まで、閲覧ありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。PA-300IIは、一台持っていたいアンプになったのではないでしょうか。
もし、オークションでPA-300IIやLimitedを見かけたらご検討おすすめします。
今までのPA-300のメンテナンスは、下記よりご覧になれます。
PA-300 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。