電源の一部に、少し基板補修が必要な箇所があったPA-304ですが、無事修理完了。
これより高調波対策を施し、ピアニシモ仕様に仕上げたいと思います。
しっかりピアニシモコンディションが整えば、必ず、OpAmp:muses02の息遣いが聞こえてるくはずです。
おさらい
ナカミチのカーアンプは、残念ながら、液漏れの爆弾を持っているコンデンサの全盛期でした。この年代のアンプは、多かれ少なかれ、この液漏れの洗礼を受け、今に至っています。
このアンプは、幸いなことに、一部の範囲でとどまり、無事復旧することができました。
動作確認も終え、標準以上の特性であることが確認できたので、早速、ピアニシモ仕様に仕上げてみたいと思います。
カスタムポイント
カスタムは、目的、効果を考えポイントを抑え行います。
-
電源の高調波対策
各ポイントに合わせた容量のセラコンできっちりと高調波を抑制
-
ゲイン調整
入力のインピーダンスは変更せず、アンプのゲインを-6dB
ハイレベル入力により、ノイズマージン、低歪化に効力を発揮
-
高分子フィルムによるカップリング
電解+メタライズドフィルムを単独の高分子にすることで、
低域から高域まで、単一の素子で伝搬。
素子間の干渉をなくし、素直な伝送経路を実現
-
muses02
スペックではなく、音そのものを伝搬させるためのOpAmpを採用
OpAmpの電源もmusesに合わせて、カスタム調整
-
ボリューム
メタルシールドタイプのボリュームを採用。
接触不良や安定性のみならず、音質低下を抑えます
電源確認
まず、測定でよく分かる電源の改善を確認します。
一次側
一次側は、2V近くリップルが標準であります。
いつものように、半分以下に抑え込んでいます。
二次側(電力)
ドライダルコイルに変えていますので
同容量にも関わらず、チップコンデンサの効力との相乗効果で、きっちりと抑え込めています。
二次側(電圧)
電力こそ小さめですが、スパイクが目立つ二次側も
きちんと抑えているのが確認できます。
OpAmp電源
OpAmpの電源は、PA-304のアキレス腱でもありますが、放熱の対策をしっかり行い、
きっちり抑え、OpAmpへの影響を無視できるレベルであることが確認できます。
出力信号
これらの効果をアンプの出力端子の状態で確認します。
微小信号
少し大きなノイズが観測された
-80dBと微小なレベルにも関わらず
しっかり基本波がみえるまでになりました。
周波数特性
周波数特性は、カップリングの効果が現れます。
低域のみならず高域でも改善が確認できます。
まとめ
幾度となく繰り返した高調波対策が収束方向に向い、対策がまとまってきました。
今回のアンプは、一部修繕が必要でしたが、状態はよく、効率的にカスタマイズをすすめることができました。
基板実装状態は、決して大げさではありませんが、実力は、これらの数値が物語ってくれます。
ハンダ面もレジストの補修を行い
完成です。
端子台ネジもスピーカ用は、幅の狭いものに統一して完成です。
ヒアリング
ピアノ等のアコースティクな楽器の音色が体に染み込んでくるのが分かります。
muses02の為せる技でしょうか。少なくともmuses02やPA-304の実力をきちんと引き出せることができたと思います。
最終的には、オーナーの方に判断を委ねます。
***
いかがでしたでしょうか。一度聞いてみたいと思われたなら嬉しいです。
もし、同じ様にカスタムをしてみたいと思われたらプロフィールのメアドまでご連絡お願いします。
これまでのPA-304のメンテナンスは、下記よりご覧になれます。
PA-304 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。