Cork

pp audio blog

オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

ナカミチ PA-304メンテナンス (2020 11-2) 整備録

ナカミチPA-304が流れ着きました。今回は、基本メンテナンス仕様です。オリジナルをなるべく損なわないように、メンテナンスしてみたいと思います。

f:id:MatsubaraHarry:20201122230338j:plain

 はじめに

ナカミチは、カセットデッキが有名ですがパワーアンプにも、その魂がきちんと注がれているのがはっきりわかります。その魅力に取り憑かれ、どうすれば蘇らせることができるか、何台も手掛けてきました。

PA-304ももう台数は20台以上になります。コンデンサの液漏れで残念なことに、基板の配線が腐食されているのも多くあり、メーカのメンテナンスの方でもお手上げでも、きちんと復活させることができるようになりました。

今回は、そのような荒業を使わなくて良さそうですが、さて、どうでしょうか。

基板状態

早速裏蓋をはずしてみます。

f:id:MatsubaraHarry:20201122231217j:plain

やはり、少しコンデンサの電解液が漏れているのがわかります。

f:id:MatsubaraHarry:20201122231254j:plain

基板の腐食も始まっているようです。

 

部品状態

洗浄するために、基板を取り外し、液漏れのコンデンサを取り外します。

f:id:MatsubaraHarry:20201122231128j:plain

基板面には大きな液漏れはなさそうです。

 

部品を外してみると

f:id:MatsubaraHarry:20201122231431j:plain

残念ながら、コンデンサの構成素材の問題ですが、液漏れが確認できます。

ジャンパ線取り外し

腐食液にさらされた近傍のジャンパ線は、取り除きます。

基板の銅箔を研磨するにも都合がよいのですので。

f:id:MatsubaraHarry:20201122231603j:plain

 

基板修復

今回は、多少腐食が進んでいますが、大きな補修は必要なさそうです。

f:id:MatsubaraHarry:20201122231734j:plain

研磨後、部品を装着し、レジストで、酸化防止をします。

実装ミス修繕

電源の立ち上がりが安定しないので、いろいろ調べたところ、

f:id:MatsubaraHarry:20201122232015j:plain

抵抗が浮いてしまい、片足、半田付けされていませんでした。

これも、きっちり修正します。

OpAmp電源

OpAmpの電源は、熱マージンが足らない傾向があり、改善を行っています。

f:id:MatsubaraHarry:20201122232216j:plain

トランジスタは、大きなものに交換することで、冷却効率を上げ、電圧ダウン用の抵抗も大きくし、放熱がよくなるようにレイアウトやり直します。

これらは、回路を理解していれば、合理的な対策でとても簡単、確実です。

 

最終実装

最初の基板状態ですが

f:id:MatsubaraHarry:20201123000852j:plain

よくみると、コンデンサ等が傾いたりしています。

そんな、細かなところも、修正して

f:id:MatsubaraHarry:20201123001032j:plain

 スッキリしました。

その他、これまでの経験上、負担のかかっている電解コンデンサを交換して、完成です。

 

電源確認

電源の状態が以前の標準機と同等か確認します。

f:id:MatsubaraHarry:20201122232605j:plain

今回は、標準と同等にするのが目的ですので、大きな違いが無いことを確認します。

電源入力へのノイズ

入力へのノイズ(端子間ノイズ)は、他のオーディオへの影響が懸念されます。

f:id:MatsubaraHarry:20201122232716j:plain

大丈夫です。

一次側リップル

多少大きめな一次側のノイズですが

f:id:MatsubaraHarry:20201122232915j:plain

多少傾向は、違いますが、許容範囲無いです。

二次側(電力)

フィルタが入っている為、もともと良好ですが

f:id:MatsubaraHarry:20201122233025j:plain

同等です。

二次側(電圧)

電圧用は、後段にTrによる安定化が行われているのですが

f:id:MatsubaraHarry:20201122233137j:plain

これも、同等です。

OpAmp電源

OpAmpの電源は、標準ではスパイクノイズが大きめですが

f:id:MatsubaraHarry:20201122233258j:plain

これは、多少効果が確認できました。

 

音声信号確認

基本波の1kHzで約3VRMSでゲインを調整し、10kと20kHzを測定しました。

f:id:MatsubaraHarry:20201122233427j:plain

ほとんど減衰がなく、良好です。

 

SN比簡易計算

SN比の計算をFFTにより行ってみました。

今回、-8dBで、クリップし始め、-9dBで限界となりました。

f:id:MatsubaraHarry:20201122233636j:plain

-80dBでのFFTから、シグナルとノイズの比を測定し、先の-9dBを考慮すると

概ね約120dBのSN比であることが、確認できました。

外観メンテナンス

外観は、洗浄と、端子の磨き上げです。

 

f:id:MatsubaraHarry:20201122233951j:plain

エンブレムもきれいになりました。(どうしても、若干ポツポツはのこります)

端子台もしっかりメンテナンスします。

f:id:MatsubaraHarry:20201122234139j:plain

写真で、状態の違いが、確認できますでしょうか。

 

端子ネジは、ネジがれ等で使えない場合は、交換なのですが

f:id:MatsubaraHarry:20201122234345j:plain

今回は、磨き上げで十分に、使えるようになりました。
(違いが写真では、わかりにくいですが。)

 

RCAジャックも同じように磨き上げます。

f:id:MatsubaraHarry:20201122234538j:plain

実は、これらのメンテナンスは、重要だと考えています。

接触不良を防ぎ、RCAピンの挿入もスムーズになり、端子台も装着が確実になるので、これだけでも、音が変わることがよくあります。

 

 まとめ

今回は、オリジナルの復元を重視と、耐久性向上の、基本メンテナンスを綴ってみました。

外見のしあがりも、この通り

f:id:MatsubaraHarry:20201122235249j:plain

すっきりしました。

末永く、使っていただけるようになったと思います。

 

高調波の対策や、その他音質アップは、まず、このオリジナルの状態で、今まで聞こえなかった音を発見して、その先が見えてきた時、考えてよいのではと思います。

 

もし、お手元に幸運にもPA-304をお持ちでしたなら、ぜひ、メンテナンスのご検討をおすすめいたします。一度のリーズナブルなメンテナンスで、末永く使えるようになります。

はんだ付けが得意な方でしたなら、ご自分でも可能ですが、正しく動作するようになったか、確かめるのは、経験がどうしても必要になりますので、頼っていただくのも方法の一つではないでしょうか。

 

 

 

 

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

 

 

       よりすぐりのナカミチアンプたち)

 

 

 

 

 

 

 

にほんブログ村 車ブログ カー用品・装備へ
にほんブログ村