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ナカミチ パワーアンプ PA-301 カスタム・メンテナンス ピアニシモ仕様 23-09 #1 (基板補修方法)

モノラルで160w絞り出すナカミチパワーアンプ PA-301のメンテナンスの機会に恵まれました。裏蓋を開けてみると、基板の一部が黒く焦げており、穴まで空いています。

一般の業者さんなら、修理をお断りする状態ですが、せっかくご依頼いただきましたので、頑張って補修してみたいと思います。

さて、うまくゆくでしょうか。

はじめに

PA-301はPA-302,4と同じサイズのボディをベースにサブパワーアンプ向けでしょうか、160Wを絞り出すパワーを誇ります。

入力は2つあり、内部で加算されています。ステレオ出力の場合でも対応できます。

出力は、スピーカ+/-が2つずつあり、これも、4Ωならば2本ドライブできます。

外観

一見みるとPA-302とかわりません。

内部状態

内部を開けてみると、電源回路部が焼けています。

かなり激しく、炎が出たのではないでしょうか。

金属のボディで、火は周りに広がらず、Fuseが切れて保護されました。

 

基板補修

さて、穴の空いてしまった基板を、どう直すか、悩みましたが、電源部なので、基板配線(パターン)が簡単ですので、燃えてしまったところを切り取り、片面銅箔基板を当てて、パッチワーク方法で修繕してみたいと思います。

基板状態確認

損傷部周辺の部品を取り外し、基板の状態が分かるようにします。

二次側の片側の電源用コンデンサからの液漏れで、マイグレーションが発生。

短絡状態になり、焼けてしまったと推測できます。

損傷部分切り取り

傷んだところを切り取ります。

ギリギリのところと考えて切り取りましたが、もう少し大きく、もっとシンプルな形がやりやすかったと、終わった後に。

基板型取り

穴の空いた部分を型取り、嵌め込むための銅箔基板を切り取ります。

車の板金の補修と同じ様に、マスキングテープに、鉛筆でこすって、かたを取りました。

少し大きめに切り出し、ヤスリで少しずつ合わせます。

基板結合

合わせた基板との間の隙間に、樹脂を流し込み固定します。

配線整形(ピール工法)

欠損してしまった配線を、写真を参考に描きます。

不要な部分を剥がすと、パターンの出来上がりです。

この後、切れてしまった部分に銅箔をあてがい、接続します。

仕上がり

仕上がりは、

オリジナルと同等になるように心がけました。

部品取り付け

部品面はデコボコが無いので、実装は、オリジナルと同じにできます。

スッキリと仕上がっています。

動作確認

まずは、電源基板単体で通電して、電圧が出るかどうか...

 

何回も、配線や、ショートを確認して、

 

とてもハラハラしましたが、無事動作していることが確認できました。

無事、信号も出力されます。

他のところが壊れていたらと、思うと、ぞっとします。

この先は、いつものピアニシモカスタマイズです。

カスタマイズ

さて、いつものカスタマイズを実施します。

今回も、電源強化、高調波を施し、ナカミチの魂を生かしてみました。

  • 電源強化
     超低ESRの電解コンを始め、高分子コンデンサも採用
  • 高調波対策
     高分子コンデンサ、チップコンデンサを用いて波形を観測
     ノイズの低減効果が確認できた値、素子を採用
  • トロイダルコアチョークコイル
     電力用の電源のコイルにトロイダルタイプを採用。
     漏れ磁束が小さく、オリジナルコイルよりESRが小さく効率よく
     エネルギーを蓄積します。
  • ゲイン調整
     このPOpAmpのゲインを-6dBすることで、ハイレベルの入力に対応。
     入力のゲインVRでロスするエネルギーロスを、VRの絞りを減らすことで改善
  • OpAmp電源強化
     OpAmpの電源を放熱のよいTrに交換し、安定化。
     平滑も高分子を用います。
  • OPA627AU
     OpAmpは、孤高のシングルチップOpAmp627を採用。
  • 高分子カップリング
     高分子のフィルムコンデンサを用いて低歪の音を追求。
     容量も大きくして、低域の特性を改善します。
  • 密閉 VR
     経年変化でも接触不良を起きにく、い密閉型のVRを装着。

きっちりピアニシモ・カスタマイズができているか、一つずつ確認してゆきます。

電源(一次側)

一次側の大きなスパイクを

抑え込みます。

電源(二次側電力)

電力部は、損失していたので、ほとんどカスタマイズ後の特性です。

ここに、高調波対策を施し、超高周波を抑制します。

電源二次側(電圧用)

ピークを抑え込みます

OpAmp電源

オペアンプの電源も、熱対策を行い、高分子と、パスコン追加で

対応しました。

出力確認

最後に、出力の状態を確認します。

微小信号

電源が損失していた部分を修復した状態でも、かなり良好でしたが

きっちり高調波対策を施した結果が、観測できました。

周波数特性

カップリングコンデンサをグレードアップしたので、10Hzまで、ストレートに。

サブパワーをしっかりドライブしてくれる特性に。

まとめ

いかがでしたでしょうか、PA-302やPA-304でもこれまで、基板がショートにより損失していることがあり、対応せず、部品取りのアンプにしていました。

しかしながら、PA-301のシリーズは、かなりの経験があり、電源回路は把握できていましたので、トライしてみたところ、無事動かすことができました。

また、基板の接合も、良い方法があったので、きっちり仕上げることができました。

基板もシンプルに仕上げ

焼けてしまった基板と思えない状態に仕上がったと思います。

絶縁紙

PA-301は、絶縁紙が大と小の2枚使われています。

小は、燃えてしまったため使えませんでしたが、大は、焦げている部分を切り取り”小”のサイズにすることで、絶縁紙 大のみ追加で対応しました。

二枚交換しようとしていましたが、大きい方は、端しか焦げていないことに気づき、流用を思いつきました。

 

****

このアンプ PA-301は、サブウーファ用のパワーアンプとしてぴったりです。

少し贅沢ですが、2台でステレオにしても素晴らし音を醸し出してくれると思います。

OPA627の歌声をぜひ、堪能していただければ、嬉しい限りです。

 

同じ様に、基板が焦げてしまったアンプを捨てられずに、困っている方、ぜひご相談ください。

当方まで、お気軽にメールでお願いします。

(迷惑メール防止の為、メールアドレスはプロフィールご参照ください。)

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カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

ヤフオク!

 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

使用した測定器

使用した機器

DAC(D10)

測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。

TOPPING D10s DAC Mini USB DAC XMOS XU208 ES9038Q2M DSD256 PCM 384kHz Hi-Res オーディオデスクトップ オーディオデコーダー (ブラック)

正弦波もとてもきれいです。

 

オシロスコープ(SDS1102)

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

OWON ハイコストパフォーマンスデジタルオシロスコープ 1Gs/s 100MHz帯域 薄型軽量 SDS1102【国内正規品】【メーカー直営3年保証】【日本語取扱説明書対応】

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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