CDを聞いていると、ノイズが生じ途中で止まってしまうAVユニット FH-9400DVSをメンテナンスしてみました。
机上で動作させても問題は、再現できませんでした。
早速中を調べてみましょう。
はじめに
2DIN サイズのヘッドユニットは、ナビゲーションに席巻されておりAVユニット、オーディオ用のヘッドユニットは、珍しいのではないでしょうか。
このユニットは、Apple CarPlay対応で、携帯のナビゲーションを表示操作できる為、地図データのアップデートが必要ないという利点があります。
仕様
サイズは、2DINに入る規格
プリアウトがMAX 4.0Vなので、ぜひ、マルチアンプ(ネットワークモード)で構成したいヘッドユニットです。
外観
外観は、モニタの下にメカニカルスイッチが装着され、
- VOL
- Home/TI ホーム画面呼び出し
- VR(Siri呼び出し)
- チルト
等があります。
背面は、電源、スピーカコネクタの他
ラインアウト/入力や、USB等があります。
分解手順
さて、内部を確認したかったのですが、分解手順がWEBにあまりアップされていません。
分解をいつものように、上から外し、フロントを外すと思いきや、フロントが外れません。
どうやら、背面、サイドプレート、上部(ドライブユニット付き)、基板取り外し。
となり、最後まで、フロント部は、取り外さない構造みたいです。
背面取り外し
最初に、下のプレートを外します。
次に、FANユニットの下のネジは緩めるだけにとどめて、他のネジを外し
少し上面プレートを上に持ち上げながら、背面プレートを取り外します。
このとき、上面のネジ4つは、ドライブ固定なので外しません。
(外すとドライブが内部の落下して、基板等を痛めてしまう恐れがあります。
サイドプレート取り外し
次に、サイドプレートを外します。
(トッププレートはドライブの接続ケーブルがついているので、外せません)
ネジを外し、爪が引っかかっているところを二箇所外すと、後方へスライドすると外れます。
トッププレート(ドライブユニット)取り外し
両サイドのプレートとりはずしたならば、注意深くドライブのケーブル(FPC)を
引き抜き取り外します。
これであとは、基板の固定ネジを取り外せば、
基板が取り外せます。
基板状態
基板を取り外し確認したところ、ハンダ面(裏面)にメーカのリワークが施されていました。
電源系のリワークと考えられます。温度も熱くならないので、そのままとします。
温度状態
今回の症状は、おそらく温度によるものと思われましたので、古典的なのですが手で触れて熱いデバイスを探ってみます。
片側のプレートを残して組み立てると、
内部の状態を見ながら通電でき、探ることができました。
やはり中央のLSIが手で触っていられないほど熱くなります。
放熱対策(LSI)
中央のLSIの発熱に放熱シートを付けてみます。
沖電線のクールスタッフという、銅を基材に、絶縁されたフィルムで、この様なLSIの放熱用に開発されたものです。
放熱対策(出力アンプIC)
もう一つ、カロッツェリアの出力アンプICの発熱が大きいことがわかっています。
放熱対策のFANの下についているICです。
本来ならば、熱伝導グリス等が塗布されているはずなのですが、この機体にはありませんでした。
ここに熱伝導シートを貼り付け、放熱効率をアップさせます。
出力確認
RCA出力を確認してみました。
-20dBで最大時392mV 計算上-dBで4V出力されることになります。
パワーアンプのゲインを少し絞り気味にして使うとノイズを抑えたシステムが作れます。
カスタマイズ(その2)
動作がおかしくなる条件は、ランダムとのことで、温度の依存性はないとのことす。
リワークされていましたので、その内容をしらべてみます。
リワーク内容
入力電源のコンデンサに接続されています。
素子を調べたところ、ハーフブリッジダイオードで、どうも逆電圧が印加されたときの保護回路のようです。
ただ、リワークの配線も細く、絶縁のフィルムもセロファン等の電気絶縁用ではないので、メーカのりワークかどうか、疑問が残ります。
近傍のパターンカットと思われた部分も、実は傷ついていただけで
きちんと補修しました。
高調波対策
このヘッドユニットは、電源を投入しながら基板単体の状態をみることが難しかったのですが、電源部を使用部品と配線から想定して対策しました。
一次電源
一次電源は、裏面に施されたリワークのダイオードを部品面に基板を追加して装着。
同時に高分子コンデンサも装着して
高調波対策を施しました。
二次側
二次側の電源は、2系統あり、
それぞれ、電解コンデンサを高分子のチップタイプに交換しました。
微小信号
微小信号の高調波は
きちんと低減されていることが、確認されました。
周波数特性
最後に周波数特性を測定、
Bluetoothのソース限界の、20kHzまでフラットです。
まとめ
通電後に音がでなくなる症状が再現できませんでしたが、放熱対策及び、設計変更のリワークを永く使える改造に、品質をアップ。高調波対策も施しました。
オーナの元での確認を、相談してみたいと思います。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。
使用した機器
DAC(D10)
測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。
正弦波もとてもきれいです。
オシロスコープ(SDS1102)
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。