電源が入らなくなってしまったのと、RCAのコネクタの修繕を施し、しっかり仕上げてみたいと思います。
修理
このPA-1002は、電源が入らない問題と、RCAコネクタのR側が欠落し、修理が必要です。
RCAコネクタ
RCAコネクタは、同等品が無い為、残っているベースを加工して修理してみました。
RCAのコネクタを切り取り、ドリルで穴を開けて、パネル取り付けタイプのRCAコネクタを取り付けました。
このRCAは、金具が厚く、しっかりした作りです。
少し手間でしたが、しっかり使えるようになりました。
電源修理
電源の問題は、スイッチングのFETが一つ壊れているようです。また、スイッチング波形もゲートの閾値での静電容量の変化で、段差ができています。
左側がオリジナル、右側が代替品です。
同等以上のFETに6個、すべて交換し、ゲートの波形を確認しました。
ゲートの閾値の変化が小さく、矩形波に近くなっていることがわかります。
メンテナンス確認
最初にピアニシモカスタムとして、電源のコンデンサ分離を行いました。
これにより、入力側への変動を小さくし、アンプの安定駆動と、ヘッドユニット等への影響を抑えることができます。
電源コンデンサ分離
入力の電解コンデンサは、1000uFが9個ついていました。
それを3+6個に分離します。コンデンサを最新のタイプにすることで、容量アップと低ESR化を実現しています。
また、チップ、セラミックコンデンサを追加して対応しています。
一次側
早速、電源の変化を確認してみましょう。
チョークコイルが追加されていますが、入力段にコンデンサが入っていないため変動が大きかったですが、
インダクタで高周波数のインピーダンスが高いので、コンデンサの効果がはっきりと確認できます。
スイッチング直下は、もともと100mVと良好でしたが
高調波を抑え低減しています。
二次側
二次側にはチョークコイルが装着されていましたが、高調波が残っています。
チップセラコンをチョークコイル直後と、一点アースの部分に追加し、20mV程度に抑えることができました。
OpAmp
OpAmpは、電源のコンデンサを高分子とし、かつ、パスコンを追加しています。
かなり改善することができました。
調整
最後にBIASの調整を行います。
スイッチング歪が無くなるよう調整してみました。
上の波形は、未調整状態です。
調整後、スイッチング歪がなくなっているのがわかると思います。
出力確認
最終確認として出力の状態をみておきます。
微小信号
高調波がきになりましたが
スッキリとしました。
周波数特性
最後に周波数特性をみてみます。
低域は、ほぼフラット、高域60kHz程度で-3dB、程よい特性になっています。
まとめ
電源の不安定の原因がなかなかつかめず、修理が進まず、時間がかかってしまいましたがようやく、カスタム・メンテナンスを完了することができました。
なんとか今年度中には、オーナのもとで、しっかりと、この大きなボディでゆったりたと奏でていただけると思います。
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。