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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

US Nakamichi PA2002 カスタム・メンテナンス ('22 No3)

PA2002のカスタム・メンテナンス 2022 3台目になります。

今まで通りメンテナンスを行っていたのですが、なにか様子が違っています。

少しリワーク(回路変更)がされているようです。

ノイズも大きめで音声を再生すると安定しませんでしたが、原因をきっちり見つけて直すことができました。

はじめに

このPA2002は、100W x2chにクロスオーバを搭載した、とても使いやすいアンプです。(詳しいスペックは、以前のブログを参照ください)

US Nakamichi PA2002 カスタム・メンテナンス - pp audio blog

 

リワーク状態

詳しいリワーク仕様は不明ですが、

抵抗が3つ追加と、ジャンパや、カットがあります。

また、抵抗が一つ削除されていました。

プリアンプ基板にも、

ジャンパと抵抗が追加されています。抵抗は、オペアンプのゲイン調整でしょうか。

 

状態確認

アンプの状態を確認してみました。

音声出力状態

最初に音声出力を見てみました。

多少ノイズが見られるのですが、状態が安定しません。

削除されていた抵抗がRCAのGNDとアンプGNDの接続用であったのが後でわかりました。

電源状態(一次側)

このPA2002は、スイッチングが少し安定していない傾向があります。

一次側の波形でも、変動が大きくなったり小さくなったりしています。

この周期が、可聴周波数になり、トランスの鳴きや、スピーカからチリチリという音をだす原因となっていることが分かっています。

電源状態(二次側)

このアンプは、一次と二次のトランス巻線を接続し、効率を上げています。

そのため一次のスイッチングノイズが二次に伝搬しやすい、弱みがあることが分かっています。

カスタム・メンテナンス

長寿命化とノイズの低減をこれまでの解析に基づいて行います。

カスタマイズ仕様
  • 電源安定化
     スイッチング周期を安定化するための変更を加えます。
  • 電源メンテナンス
     一次/二次側の電解コンデンサは低ESR品に交換します
     また、一次側には高分子もいくつか装着します。
  • 電源配線改善
     電流が、供給元から必ずコンデンサを経由してアンプ回路へ流れるように
     パターンを一部変更。
  • 高調波対策
     チップセラコンにて高調波を抑制します。
     その他、二次側にコイルを追加して、ノイズを抑制を行います
  • OpAmp電源
     電源にはOSコンを採用。また、メインOpAmp直下にパスコンを装着
  • GNDポイント見直し
     一次側と二次側が接続しているので、スイッチングによる電流ノイズの影響が小さくなるように配線を見直します。
  • プリアンプダイレクト
     プリアンプをダイレクトにするための折り返しコネクタを装着。
     もし、もとに戻したい場合は、パネルを外して、プリアンプ基板のケーブルに差し替えれば、いつでももとに戻せます。
  • 入力GNDとアンプGND
     入力とアンプのGNDをこれまでの経験値のパラメータに変更します。
     これにより高調波までノイズ対策が可能になります。
スイッチング周期安定化

まずは、電源の周期の安定化を施します。

スイッチング阻止の制御信号(GATE)は、パルストランスを介して制御していますが、OFFタイミングがトランスの放電によりゆっくりになり、制御が安定しません。

 

ここに放電抵抗を追加しますが、大きくすると、ハンチングが発生しスイッチングノイズがおおきくなってしまいます。

ゆっくり、安定放電するのに、抵抗+定電流回路を追加し、安定させています。

電源状態(一次側)

電源の周期が安定しているので、変動が均等になり、かつ超低ESR電解+高分子+セラコンで変動をおさえつつ高周波まで抑制しています。

 

電源状態(二次側)

一次のスイッチングノイズもコイルを追加することで

抑えることができています。

また、このチョークコイルは、高調波の電流ノイズも抑えるので、音声出力の低減効果が大きいことも分かってきました。

まとめ

今回は、RCAのGNDとアンプのGNDの接続がオープンであったので、いつものパラメータで接続(CとRの複合)して安定させました。

音声出力確認

もともとは、高調波で安定しなかった出力も

すっかり、スッキリしました。

周波数特性

最後に周波数特性を確認します。

50kHzで-1dB程度に抑え安定させている特性であることがわかります。

基板仕上がり

基板は、何時ものように、実用性を重視しています。

スッキリと、無理な実装はないことがわかると思います。

外観

傷も少なく外観も綺麗に整えることができました。

パネルもFINも綺麗に

 

いかがでしたでしょうか。

PA2002は、その大きさと安定した出力が魅力なアンプですが、時折チリチリノイズがきになる機体も見受けられます。

そんなノイズに悩まされている方もどうぞ、おきがるにお問い合わせください。

(お問い合わせは、プロファイルのメールアドレスよりできます。)

 

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

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