PA2002は、二台メンテナンス頂いており、本アンプは、KKモデルでカスタマイズされています。
KKモデルのカスタム内容も少し今回は紹介してみたいと思います。
はじめに
US版のPAシリーズには日本ナカミチのK氏によって、カスタムされたアンプがいくつかあります。PA-1002やこのPA2002もそうです。
大きく違うのは、ネットワーク基板が削除され、ダイレクト仕様になっています。
測定結果よりこのダイレクト仕様のPA2002は、14dB程度のゲインです。
100Wの出力には、計算上、入力に約1.4V印加するとなります。
使いやすそうなゲインです。
基板状態
基板の実装も少しKKモデルは、工夫されています。
電解コンデンサにDUOREX IIがいくつか使用しています。
また、プリアンプ基板をバイパスするのに、ジャンパが設けられています。
また、電源ノイズ対策で、
セラコンが2つ追加されています。
状態確認
出力波形
微小出力は、
少し高調波が見えます。
電源状態(一次側)
入力の電源状態をみてみると
リップル自体は、300mV以下なので問題ないのですが、周期が安定していません。
この周期が安定していないため、100kHzのスイッチング周波数が、1/nの周期になり、可聴周波数になってしまいます。
その結果、電源トランスからチリチリという音となって聞こえます。
これは、ノイズ以外にも、電源が安定していないので、改善したほうが良いと考えます。
電源状態(二次側)
二次側には、メタライズドフィルム(0.1uF)が装着されています。
その結果、少し高周波の発振が見られます。
以前のノーマル仕様のPA2002の波形を参考にみてみると
違いがよくわかります。鋭角な波形は少なくなりましたが、発振は気になります。
よく、電源に0.1uFのコンデンサは、お決まりで付けることがありますが、効果をきちんと確認する必要があると思います。
カスタマイズ
今回も同じ仕様でカスタム・メンテナンスします。
- 電源安定化
スイッチング周期を安定化するための変更を加えます。 - 電源メンテナンス
一次/二次側の電解コンデンサは低ESR品に交換します
また、一次側には高分子もいくつか装着します。 - 電源配線改善
電流が、供給元から必ずコンデンサを経由してアンプ回路へ流れるように
パターンを一部変更。 - 高調波対策
チップセラコンにて高調波を抑制します。
その他、二次側にコイルを追加して、ノイズを抑制を行います - OpAmp電源
電源にはOSコンを採用。また、OpAmp直下にもパスコンをもれなく装着 - GNDポイント見直し
一次側と二次側が接続しているので、スイッチングによる電流ノイズの影響が小さくなるように配線を見直します。 - プリアンプダイレクト
もともとダイレクト仕様ですが、折り返しのケーブルが取り付くように
コネクタを現在入手できるものに交換しておきます。
電源状態(一次側)
低ESRかつ、容量アップのコンデンサに交換。高分子コンデンサとチップセラコンを装着しました。
安定し、かつ1/10のリップルを実現しています。
電源状態(二次側)
電源の配線を改善し、供給元から、コンデンサを経由して、アンプへ供給するように変更します。
100mV程度のリップルに改善。
出力状態
オリジナルでは、少し高調波が見えましたが
高調波もかなり抑えることが出来ました。
まとめ
このPA2002/2004 やPA-1002/504等は、電源がアイソレーションせずに、効率を上げる工夫がされています。その分電源のスイッチングノイズがアンプ回路に伝わり、かつ電源が間欠スイッチングの症状で可聴周波数のノイズが聴こえてくることがあります。
周期を安定化させ、リップル自体も極力抑え、一点アース化によりスピーカ出力へのノイズを極力小さくしています。
周波数特性
周波数特性は、
素晴らしい特性が確認できました。
USのナカミチはそのおおきな出力と大きなシャーシは、魅力的ですが、ノイズで悩まされている方もいらっしゃるかと思います。ぜひ、当方まで、ご相談ください。
(下記のプロファイルにメールアドレスの記載がございます。)
https://matsubaraharry.hatenablog.com/about
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。