a/d/sのDAC DA44が流れ着きました。
電源のケーブル(コネクタ)がなく、状態が確認できていないと、まずは電源を入れるところからでしょうか。
スペックをしらべてみると、低ジッタ回路や96倍のオーバサンプリング、当時の技術をフル導入と思わせる、こだわりぶり。
さて、どんなDACなのか、探ってみたいと思います。
はじめに
仕様
仕様を少し調べてまとめてみました。
驚くようなスペックです。
ジッターまで明記され、オーバサンプリングが96倍、補間方式等まで明記されています。
サンプリング周波数が44.1kHzにより20kHzが限界になりますが、そんなことをなど、吹き飛んでしまうような仕様です。
外観
パネル側はDACの標準的に
デジタル入力(光/コアキシャル)と出力、電源。
電源コネクタ
電源コネクタがなかったのですが
形状よりさがしたところ、ユーロコネクタであることがわかり、一件落着です。
内部
内部は、半分以上がデジタル回路に専有されています。
なぜかよく見ると、DACがデュアル。L/Rの独立回路かと思いましたが、実は...
状態確認
状態を確認しているうちに、少しおかしいところがありました。
DC漏れ症状
Rchの出力に0.2VほどDCが漏れていることが分かりました。
異常電圧検知用のOpAmpを外すと直ります。OpAmpを交換しましたが、直りません。
一つずつ部品を外したところ、配線がショートしている箇所があり、カットしたところ直りました。
基板では、時折見られる現象で、はじめから、この状態だったみたいです。
DCのオフセットがわずかにかかるだけで、プリアンプ等の入力のカップリングで影響は感じられず、問題なく使われていたとは思います。
これで、安心して、カスタマイズをおこなうことができます。
出力波形
早速、出力の状態を確認してみます。
少し高調波が見られます。これは、経年変化のよるものでしょうか。
DA44のDAC
このDA44には、2つのDACが装着されています。
このDACには2chの出力がありますので、わざわざ2つ装着する必要はありません。
配線をしらべてみると
ディファレンシャル構成になっています。
設計コンセプトのこだわりが見えてきました。
2つのDACを用いて片側を反転出力設定、DACのリニアリティの改善効果、DCカップリングをなくすことができます。
出力の高調波は、DACの高調波ノイズの差が増幅され出力されているようです。
そのあたりも考慮し、抑制方法を検討してみたいと思います。
電源状態
電源状態を確認するために、電源の系統を解析してみました。
複雑なため、解析するのに時間がとてもかかってしまいましたが、
どうやら3系統あることがわかりました。
DC/DCは、標準的なPush/Full回路で、デジタル用は、単電源です。
二次側のGNDは、完全分離の仕様になっています。
一次側状態
さて、電源の状態を見てみましょう。
電力が小さいためもあり、かなり良好です。
二次側
アナログ側の電源をみてみました。
標準的なリップルです。
二次側(アナログ電源)
ポイントは、実アナログ用電源の状態です。
かなり良好です。
カスタマイズ
さて、カスタマイズを考えてみましょう
- 電源メンテナンス
コンデンサを低ESRに交換し、強化 - 高調波対策
波形を確認し、高調波を抑制します。
セラコンや、高分子コンデンサ等を適所に搭載し改善 - Dual DAC高調波対策
Dual DACのノイズの差分増幅の抑制 - OpAmp
OpAmpをOPA627AUへ
無論、電源に、パスコン装着。 - デジタル電源
状態を確認しながら対策
電源一次
いつものように電源カスタマイズを施します。
高調波をしっかり抑制しました。
電源(二次側)
スイッチングの二次側は、どうしてもスパイクがきになりますが、電力がちいさいので
高分子により改善できます。
二次側(アナログ電源用)
二次を改善したので、そのままで
ここまで、改善できました。
出力状態
まず-20dBの状態を見てみましょう。
高調波が取れているのが確認できます。
もう少し、詳しく見るために-40dBの状態をみてみましょう。
FFTでも効果が確認できました。
周波数特性
最後に周波数特性を確認します。
44.1kHzのサンプリングなので、20k強までですが、しっかりフラットで有ることがわかります。
まとめ
今回は、回路の解析や、不具合解析に苦労しましたが、なんとか仕上げることができました。
仕上がりも、スッキリです。
音は、やっぱりナカミチの魂が感じられる透明感のある優しい音で、ゆっくり、長く聞いていられる音。
アナログのピアニシモ仕様のアンプで、じっくり聞きたいDACに仕上がりました。
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使用した測定器
DAC(D10)
測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。
正弦波もとてもきれいです。
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。