ナカミチ PA-304が流れ着きました。少し、ガリガリという音が出てしまうとのこと。
発熱するトランジスタの半田劣化で同様の症状が生じることを何度か経験していますが、本アンプにも該当するとよいのですが。
また、高調波対策仕様のオーダですので、その効果も確認して行きたいと思います。
はじめに
今回も、状態の確認から始めます
- 内部状態の確認
- 修繕後に動作確認
- 高調波対策及び検証
の手順で行いたいと思います。
内部状態
早速内部を開けて確認をおこないました。
部品状態
コンデンサが膨らんでいるのと、液漏れが確認できます。
基板面状態
基板面を確認したところ
一次側と二次側電力用のコンデンサから液漏れが確認できます。
コンデンサを取り外すと、
液漏れと同時に温度が上昇したのでしょうか、スリーブが縮んでしまっています。
分解洗浄
部品の状態の確認も兼ねて、電解液が浸透している部品も取り外し、クリーニングします。
今回は、少し大事になってしまいました。ジャンパは、30本取り外しが必要になりました。
電力抵抗x3 小型抵抗x2も交換になります。
基板研磨
部品を取り外すことで、基板の銅箔配線の研磨が確実にできます。
一次側付近と
二次側付近
部品装着
基板がきれいになったので、部品を装着してゆきます。
一日仕事になりましたが、すっかり綺麗になりました。
修繕動作確認
高調波仕様ですが、一度、修繕完了した状態で、動作を確認します。
電源をいれたところ、無事 電源が確認できました。
入力ノイズ
入力の電源のノイズの確認を最初に行います。
良好ですね。
一次側
かなり小さいです。修理の一部に高分子コンデンサを採用している効果もありますが、少し状態が異なるように見られます。最終的に確認が必要です。
二次側(電力)
よく見ると周期が異なっています。
周期差異原因究明
周囲が異なっているのと電流が少し多めです。色々調べてゆくと、プッシュプルのトランジスタの制御信号の波形が対象になっていないことがわかりました。
上の波形は、オリジナル状態で、黄色と青の波形が同じになっていないことがわかります。
制御用のTrを交換して問題を解決しました。
二次側(電力) 修正後
二次側(電圧用)修正後
リンギングが少し小さいですね。
高調波対策を施した後の波形が楽しみです。
微小信号
最初に現状でのSN比を想定するために微細信号出力時の特性を確認します。
下側が本アンプです。ノイズがおおきめですね。
つづく
スイッチング制御のTrが壊れていたのがわかったのですが、最終的な微小信号再生時にノイズが大きめです。
高調波対策を施しながら、原因を探ってみたいと思います。
ナカミチ PA-304 カスタム・メンテナンス (2020 12 #1) 整備録(2) 高調波カスタム編 - pp audio blog
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。