以前取り扱ったNobsoundのデジタルアンプをカスタマイズして使っていただことメンテナンスを始めました。少し測定をおこなっていると、左右でキャリアの漏れ(400kHz)に差があることがわかりました。
また、超高域にフィルタの山があることがわかり、合わせて対策してみたいと思います。
はじめに
仕様
最大出力 100W x2chと驚くべきスペック
実際は、20Wにとどまるようです。
電源が19Vですので、サイン波では計算上も20Wになります。
電源電圧をアップするとカタログスペックになりそうです。
周波数特性
周波数特性は、若干高域が上昇していますが
かまぼこでとても良い特性です。
基本出力波形
基本波形を見てみましょう
左右で違いがあることがわかります。
波形を拡大してみると
400kHzのキャリアが漏れていることがわかります。
キャリア漏れ解析
さて、デジタルアンプの簡単な仕組みを見てみます。
このNbosoundにはTPA3116のチップが2つ装着されておりBLT接続されています。
わかりやすいように、簡略化しています。
BTLなのでプラス側とマイナス側の出力があります。
+と-を測定してみました。
矩形波は同じですが、フィルタ後の波形の大きさに違いがあります。
調べてゆくと...
片側のコンデンサの容量が小さい(約-17%)ことがわかりました。
コンデンサの容量を選別して安定化してみます。
左右の特性がほぼ同じ様になりました。
周波数特性改善
周波数特性で超高域に少し山がありきになりました。
フィルタの解析をおこなってみたところ
LとCのバランスが悪く、インピーダンスが下がってしまい、出力レベルが上がってしまうことがわかりました。
少しLを大きくしてCを小さくしたほうが良いと思い、色々と試してみたのですが
コイルの特性が悪いのでしょうか、Lをおおきくすると、1kHzから低下してしまう。
やはり、少しコンデンサの容量を落とさないとピークはなくなりませんでした。
緑の22uH/.47uFとしました。
最初は、よく理解できなかったのですが、コンデンサの容量を小さくするとピークを抑えられるという現象です。これは、先のインピーダンス特性をみるとわかりますが、LとCの共振でインピーダンスが下がり、電流が多く流れ出力電圧が上昇する。電源の動作に似ています。
電源状態
電源の状態を確認してみると
電源のノイズが気になります。
いつもの高調波対策を施すのですが
多少効果が確認できましたが、今一つ...
電源アダプタを交換してみると...
かなり改善されました。
まとめ
このNobsoundは、キャリア漏れが少なく優秀でしたが、左右の違いや周期的なノイズが気になりましたが
電源のメンテナンスと高調波対策、出力のフィルタのコンデンサの容量調整、
そして手元にあったパソコンの電源アダプタで
見違えるようになりました。
これで安心して使っていただけるようになったと思います。
実際に使っていただいて、感想を聞いてみたいと思います。
使用した機器
DAC(D10)
測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。
正弦波もとてもきれいです。
オシロスコープ(SDS1102)
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。