アナログで周波数の設定もスイッチというこだわりのクロスオーバネットワーク 3Way用 EC-302のメンテナンスを再び行います。
今回は、2Wayで最初に使い、徐々にアップグレードのベースを目標にメンテナンス。
もちろん、ノーマルの、ツイータ出力(High)で気になることがあるノイズもきっちりカスタムにて抑えます。
はじめに
通例アナログのクロスオーバは、周波数がボリュームのため、周波数の設定が曖昧になりがちです。また、再現性も乏しくなりますが、このEC-302は、5つのスイッチにより周波数をきっちり設定でき、再現性もばっちりです。
Lowは、10Hz単位で10Hzもしくは、100Hz単位、Highは0.5kHz単位で切り替えが可能です。
32分割の周波数設定機能は、設定の曖昧さを防ぎ、再現性が良く、MIDレンジをHigh側、Low側との周波数をピタリ合わせることができます。
合理的で、設定がとてもスムーズになります。
設定の注意点
- 0dBは、約2時方向
各ボリュームは、時計の二時ぐらいで0dBになります。 - MIDのHPFのPASS設定
スイッチをすべてOFF、Rangeを"x1"に設定にします。
またハイカットはPASSができず、MAX15kHzになります。 - HighのPASS設定(HighPass)
弱いHighPassが残り、20Hzで-4dB程度減衰します。
標準状態
これまでのEC-302の標準状態を参考までに。
出力波形
いつもHigh側のノイズが気になるところです
やはり少し高調波ノイズが目立ちます。
電源状態(一次側)
電源は、オリジナルでも良好です。
入力は、コンデンサが入っていませんので致し方ありません。一次側は、スパイクが少し目立ちます。
電源ノイズ(二次側)
スイッチングコンバータが、とても優しい作りで、正弦波に近い交流が生成され、
ダイオードで整流しています。
20mVでスパイクもなくとても良好です。
カスタマイズ
今回のカスタマイズの効果を確認してみましょう。
電源(一次側)
入力側は、コンデンサの追加、一次側は、コンデンサの交換と高分子、セラコンの追加で徹底しています。
無理なく抑え込みができました。
電源ノイズ(二次側)
二次側は、とても良好でしたので、電解コンデンサの交換のみです。
同じ容量ですが、半分まで改善できています。
OpAmp電源
いつものようにラジアルリードタイプのコンデンサをOpAmp7個すべてに追加。
きっちり抑え込みできました。
出力確認
High側の少し気になる高調波ですが、内部のGNDと入力GNDを高周波数接続しました。
きっちり治りました。これで安心して使えます。
Mid側出力
もともとHighCutが働いていたので良好でしたが
きれいになりました。
Low側出力
念の為Low側を確認します。
問題ありませんね。
周波数特性
最後に周波数を確認。
チャネルごとのバランスも良く、素晴らしい特性です。
優れたアナログのクロスオーバの特性です。
まとめ
High側のノイズもきっちり対策することができ、また、特性の確からしさを確認することができました。
簡単に見えますが、何台もメンテナンスさせていただいた結果、ここまで仕上げることができました。
- 電源強化、高調波対策
- OpAmpの交換
High:OPA1652
MID:OPA1652
Low:OP257 - ブラケット研磨、防錆処理
2Way仕様
未使用であるRCAの端子に保護キャップを装着しました。
これで、後日、サブウーファ等増設された場合にも、安心して接続できます。
EC-302は素晴らしいネットワークですので、見かけたらぜひ、手に入れてみてはいかがでしょうか。
しばらくオリジナルで使われて、その後、当方へカスタム依頼いただいて、変化を楽しむのが、おすすめです。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。