ナカミチクロスオーバネットワークのEC-204のメンテナンスの機会にめぐまれました。
ピアニシモ仕様にmuses8820を使って極上の一台に仕上げたいと思います。
はじめに
EC-302やEC-204のクロスオーバ周波数は、5つのスイッチにより行います。言わば、デジタルスイッチで、最小周波数単位で1~31倍まで設定できます。
例えばLow側は10Hz単位で、もし、150Hzにしたい場合
80、40、20、10のスイッチをONにすれば150Hzになります。
スイッチ5つでも十分細かく設定でき、再現性が高いのが魅力です。
さっそく、メンテナンスを始めたいと思います。
メンテナンス
メンテナンスは、電源の長寿命化及び高調波対策を施します
- 電源コンデンサ低ESR化
低ESRの電解コンデンサや高分子OSコンを組み合わせ低リップル化。 - 高調波対策
電源のノイズ発信源のもとにはチップコンデンサを用いた低ノイズ化対策 - 二次GNDの接続
RCAのGND側とアース(シャシー)の遮断ノイズ対策は、高調波が弱い弱点があります。実験によるパラメータを用いて低周波から高調波まで低減 - OpAmpパスコン+ソケット化
おなじみmuses8920をHigh側用に4つ使用。
SWは、5532DDを使います。とても合理的な選択です。
もちろんソケット仕様で、パスコンも装着します。
改善効果(一次側)
電源入力はEC-302と同様、高周波のインピーダンスが高い(パスコンが未装着)為、高調波が目立ちます。
チップセラコンと大きめのディスクリートセラコンで抑えています。
電源の入力のスイッチングノイズは、OSコンとチップコンデンサの効果により抑え込みました。
改善効果(二次側)
二次側は、高調波が少し音声出力にもれだしていますので、きっちりチップセラコンで抑えます。
きっちり抑え込むことができました。
出力信号の効果
Highは、オリジナルでもとても良好ですしたが、少し高調波が見えます。
電源の高調波対策の効果がはっきり確認できます。
カスタム内容おさらい
- OpAmp (muses8820 x4+ NJM5532DDx2)
High側(LowCut)へは muses8820を使用し極上の音へと。
低域には安定した5532の低ノイズ版を採用。 - 電源入力ノイズ
電源の入力ノイズへのパスコン追加は、外来ノイズの抑制及び反射を抑え
電源ケーブルの伝送経路による高調波発振を抑える合理的な方法。 - 電源高調波対策
EC-204/302の電源はDC/ACでとても優しい作りですが、EC-204は正弦波
尖塔のスパイクノイズに影響があるのが分かってきました。
超低ESRのチップセラコンで最短ルートでノイズを抑制。
その効果は出力波形で明確に現れています。
まとめ
これまでの経験にもとづき、適切な電源の改善で安心できるアナログクロスオーバネットワークにすることができました。
OpAmpのソケット化は、ブラケットと干渉するため、2箇所ほど、加工しています。
加工後、研磨して、防錆処理(クリア)を軽く吹きます。
これで、末永く使っていただけるようになりました。
周波数特性
最後に周波数特性を確認し完成です。
EC-204は、High側は、バッファとしても使うことができます。
OpAmpの評価用にも面白いと思います。
EC-204注意点
EC-204は、Front+RearからSWの信号を作り出しています。そのため、FrontとRearに微小ですがクロストークが生じます。
また、Front、Rear単体で使用すると、出力が-2dBほど減衰します。
ソースが2ch(Front)のみの場合、Rearへジャンパを接続して使うと改善できます。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。