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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

パワーアンプの出力容量と増幅率

パワー・アンプを選定する時に、今使っているものとの音の大きさが気になることがあります。出力容量が大きくなると、同じボリュームでも大きい音がでるの?という疑問をもたれれる方も多いと思います。

  • 出力容量が大きいと音も大きい?
  • アンプを替えた時にゲイン調整は必要?
  • ハイボルテージのヘッドユニットに繋げられるアンプ?
  • マルチアンプのときは、みんな同じワッテージに合わせるほうが良い?

そんな疑問にお答えしたく、綴ってみたいと思います。

 

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出力容量と増幅率

アンプが大きい(出力)と同じボリューム位置でも音は大きの?

答えは 

   YES 

です。一般的には、出力容量が大きいと、同じボリュームの時、大きな音がでます。

同じ入力感度であるという条件の時、出力容量が大きければ、増幅率も大きくなります。

このアンプの増幅率をゲインと呼びます。単位はデシベル(dB)です。

(なぜデシベルなのかは、足し算引き算がつかえるからだそうです。)

アンプのゲインって? ゲインの調整方法 - pp audio blog

実際アンプの出力容量によってゲインが違うか 10Wから320Wまで一覧にしてみました。

わかりやすいように 10Wとの比率(電圧比)  も書いてみました。

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音のエネルギーとパワー・アンプの容量は同じと考えて良いので、パワー・アンプが倍になれば、音の大きさも倍の音に、大きくなります。

(スピーカに掛かる電圧比は、約1.4倍(√2)です)

入力感度(インプットレベル)に注意してください。

ゲインボリュームがついている場合は、入力感度が 0.2~3Vとか範囲で示されています。

ゲイン計算方法

少し、数式が出てきますが、ガマンしてください。もし、数式が苦手、関数電卓をお持ちでない方、一覧表が出てきますので、そちらを参考にしてみてください。

 

最大出力の電圧をスピーカーのインピーダンスから求めることができます。

 

出力電圧(v) = √(出力容量(w) インピーダンス(Ω)

この時スピーカが4Ωの時

出力電圧(v) = 2 x √出力容量(w) (ただし4Ω時)

 

増幅率は、

増幅率(倍) = 出力電圧(v)/入力感度(v)

デシベルはこの増幅率を対数演算して20倍します。

増幅率(dB) = 20 x log10(出力電圧(v)/入力感度(v)

 

少し厄介ですね。

 

パワー・アンプゲイン調整マトリックス

少々厄介なので、ゲイン調整は、電圧計できちんと合わせるので必要ないという方も。

そんな方にオススメなのは、一覧表です。元のアンプやそれぞれのスピーカーの能率から、調整するボリュームの目安をこの一覧表が便利ではないでしょうか。

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では、40Wから100Wに変更したときの例を

例)

今のアンプが40Wで入力感度が0.3~0.8Vで、真ん中ぐらいで合わせていた時

新しいアンプが、100Wで、入力感度が0.3から3Vの場合

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上の表から約28dBなので100W時の入力感度は0,8V程度に合わせれば良いことになります。新しいアンプの入力感度が0.3~3Vの場合、0.8Vの位置は、約20%になります。

 

大まかにボリュームの位置をあわせて、それからテスターで調整すると効率がよくなります。フルレンジやパッシブの方は、この合わせ方で十分実用になります。

 

パワー・アンプ容量の選び方

パワー・アンプやスピーカが歪むほど大音量で聴かれる方は、少ないと思います。

そんなに大きな容量(100W以上)が必要になることは、特別な場合が多いです。

あくまでも会話ができる範囲での音量で楽しまれる場合の、私の個人的な参考として読んでいただければと、思います。

  1. ウーファーは、大きめのアンプに。
    ウーファーを駆動するのにパワーが必要ですので、大きめのアンプを選ぶと良いでしょう。大きめのアンプは、駆動能力(ダンピングファクタ)が一般的に大きいので、キレのある低音が出せます。それでも100W程度あれば、そこそこの低音がでます。(ウーファーの取り付けや選定がまず最初になりますが。)

  2. ツイータは、小さめのアンプがオススメ
    マルチアンプでツイータ専用のアンプの場合、少し小さめのほうが音が良くなる傾向があります。それは、音楽の高域成分が少なくツイータに大きな出力がかからないのが一般的だからです。アンプは、出力の80%ぐらいが一番歪が小さいので、小さめのアンプの方が歪が小さくなるのは、このためです。
    また、SN比は、残留ノイズと、最大出力の比率なので、同じSN比ならば、小さい方が、ノイズが小さいので、ツイーター等の効率の高いスピーカには、合っています。
  3. フルレンジにはスピーカの容量以上のものを
    フルレンジやパッシブのマルチウェイスピーカにはスピーカの容量以上のアンプをつけるのが良いでしょう。もちろん、小さめの音で聴かれる方は、小さいアンプで持ちろんよいです。逆にあまり大きなアンプをつないでも、アンプの歪の少ない領域で鳴らすことができないので、歪やノイズの多いものになってしまいがちです。

まとめ

冒頭の疑問の参考解答は

  • 出力容量が大きいと音も大きい?
     はい。容量の比率だけ音も大きくなります。

  • アンプを替えた時にゲイン調整は必要?
     アンプの容量や入力感度が違う場合は、ゲイン調整が必要になります。

  • ハイボルテージのヘッドユニットに繋げられるアンプ?
     ほとんどのアンプは、ハイボルテージのユニットに繋げられますが、
     できれば、入力感度が1V以上のアンプが望ましいです。

  • マルチアンプのときは、みんな同じワッテージに合わせるほうが良い?
    いいえ、必要はありませんが、アンプのゲインを同じにしたほうがヘッドユニットでの調整がやりやすくなります。
    その際、スピーカの能率の差を含めて、
    ゲイン調整をすると良いでしょう。
    アンプのゲイン一覧表を用いると比較的簡単にできますのでオススメです。

で、いかがでしょうか。

一概にアンプの容量の選び方は、使い方しだいですので、当てはまらないのは多々あると思います。その中でも、少し、考え方、選び方の参考になれば幸いです。

 

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