RockForod のpunch 700xのメンテナンス機会に恵まれました。
RCAのコネクタを触ると大きなノイズが出てしまう不具合を抱えています。
状態を確認して、メンテナンスしてみたいと思います。
はじめに
仕様
このアンプは、72.5wx4 600wn出力容量をもつアンプです。
FrontとRearの2系統クロスオーバネットワークを備えています。
なかなか使いやすそうです。
端子台側は、中央に電源を配置して、隙間にリモートのファストン端子があります。
基板仕様
内部の半分に電源エリアとして配置しています。
よく見ると、トランジスタ(FET)が基板にはんだ付けされています。
一見放熱の効率に難ありに見えますが、実は、とってもよく考えられています。
アルミ基板
すべてがアルミではなくて、基材にアルミを用いています。
この放熱方法で、素子の温度がボディの温度と殆ど変わらないほど伝導効率が良いです。
国内では特許の基板の製法で、基板の基材にアルミがつかわれており、大電力基板の放熱に使われます。基材を銅にしてもっと放熱効果を上げる基板もあります。
修繕
RCAのコネクタを触ると大きなノイズが出る症状を調べてみました。
コネクタのはんだ付け部分をみてみると、クラックが入っており、抜けかかっているのがわかりました。
一度コネクタを外して確認してみると...
GNDのPINが切れて、抜けてしまいました。
このGNDがつながっていないため大きなノイズが出ていたのと思います。
錫メッキ線で足をつけて、確認したところ、きちんと4ch音が出るようになりました。
状態確認
いつものように電源の動きを見てみました。
一次側
330u/63Vと小さめの高耐圧のコンデンサが6つ装着されています。
高周波を考慮しての設計と考えられます。
0.3V程度の変動で抑えられています。
二次側
二次側は、4700uを4つずつ用いております。
0.2V以下の変動に抑えられています。
出力
スピーカの出力を確認してみます。
少し高調波が見えますが、RockFordのアンプの標準的な状態です。
カスタマイズ
状態がとても良いので、オリジナルを生かしたメンテナンスを行ってみました。
一次側
変動と高調波を抑えました。
二次側
チップセラコンを追加して対策します
鋭角な波形を抑えることができました。
出力
出力への改善を見てみましょう
少し良くなっているのがわかるでしょうか。
これをFFTを用いて調べてみます。
100kHz以下のノイズが減っているのが分かります。
BIAS調整
BIAS調整は、10kHzの波形を観測しながら行います。
FFTで確認するとかんたんに調整できます。
周波数確認
仕上げに周波数特性を確認します。
ワイドフラットな特性です。素晴らしいですね。
まとめ
RockFord等の海外製アンプは、そのパンチのある音で人気があります。
この700xは、名称からも分かる通りパンチのあるアンプです。
また、アルミの鋳物のボディとアルミ基板との組み合わせでとても放熱効率が良いです。これならば数百Wを連続的に引出すことも可能ですね。
放熱シリコン
ボディと放熱基板を密着させるのに放熱用グリスを使います。
このグリスは薄く均等に塗布するのがコツです。
接着剤のヘラがとても便利です
カスタム ご希望の方は
当方のブログを見ていただいた方で、同様のアンプを聞いてみた方、オークションで、カスタムしたアンプを出品していることがございます。数はとても少ないので、幸運にも遭遇された場合は、ご検討お願いします。
もちろん、メンテナンスのご依頼もお待ちしております。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。