音の出ないPA-300IIが流れ着きました。原因は、コンデンサの液漏れと思われます。
今回は、オリジナリティを重視し、基本メンテナンスで仕上げてみたいと思います。
はじめに
PA-300IIは、PA-300にHighPass入力とゲインボリュームを備えたアナログアンプです。
プリアンプにカップリングやOpAmpを用いないこだわりのアナログアンプです。
(フィードバック回路にはOpAmpが採用されています)
未だにファンの多いアンプで、オークションでもとても人気。
ですが、30年の歴史があるので、メンテナンスはどうしても必要になります。
故障原因
故障原因は、小さなコンデンサの液漏れです。このコンデンサは、PA-300にはなく電源のリモート制御関係の様に見受けられます。
周囲の部品を取り外し、洗浄修理します。
- 電解コンデンサ x2
- 抵抗 x2
に腐食が見られたので、交換し修理完了です。
オリジナル状態確認
メンテナンスする前に状態を確認しておきます。他に故障箇所があるかもしれませんので。
一次側
入力は、チョークコイルがありますので、スパイクは抑えられているはずです。
標準な状態です。
二次側(電力)
チョークコイルが入っていませんが、50mV程度に抑えられ、標準的なレベルです。
二次側(電圧)
標準ではスパイクが少し目立ちます。
150mV以下で、標準的です。
メンテナンス
標準的なメンテナンスですが、今回、一次側は、最低限のノイズ抑制を施してみました。
一次側
入力には、小さなチップパスコンを追加
電解コンデンサが標準で3つ装着されていますのですべて大きくしたくなりますが
1000uFx3 -> 4700uFx1 + 1000uFx2
としています。
また、高分子コンデンサと、セラコンを付けて処理しました。
入力のノイズは、測定できないくらい小さく、一次側は1V以下におさえることができました。
一次側のリップルが周期的に変動していましたが、安定していることがわかります。
二次側(電力)
電力用は470uF x2x2装着されていますが
これも、2種類の電解コンデンサで対応しました。
半分程度の50mV以下に抑制できました。
二次側(電圧用)
電圧用は、コンデンサの容量をおさえつつ、抑制します。
電解コンデンサ交換での改善は、幾度となく測定、実験した結果です。
出力確認
液漏れがあったものの、修理はスムーズでした。
早速出力の状態を確認してみます。
微小信号
標準的なPA-300IIと比較してみました。
かなり良好です。一次側の抑制が効果があったと思われます。
周波数特性
いつもうっとりしてしまいます。
高域もノイズを考慮し、程よく抑えています。
まとめ
予備機として入手したPA-300IIは、残念なことに動作せず、当方へ流れ着きました。
オリジナルに近い状態でメンテナンスでき、末永くこれからも音楽ファンを楽しませてくれると思います。
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カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。