超小型のナカミチPA-102のカスタムを行う機会に恵まれました。
最初にその素顔を覗いてみると、スペック以上の驚きの実力を目にすることができました。
さて、そのPA-102の素顔の驚きの実力と、カスタムメンテナンスを行ってみたいと思います。
はじめに
PA-102は、PA-202やPA-302の系列のアンプで、リアや、ツイータ等の比較的容量の小さなアンプとしてラインナップされていたと考えています。
外見
外見は、楕円のヒートシンクに包まれ、電源やスピーカはすべてケーブル引き出しになっています。
約500gのその重量と大きさ、強靭なボディは、コンソールの裏側に忍び込ませて使えるようにとの設計思想が伺えます。
仕様
他のアンプとのスペック比較は少し厳しいと思ったのですが
立派なスペックです。周波数特性は、たのシリーズと同じ仕様になっています。
ツイータに是非使ってみたくなる仕様ですね。
基板
さっそく中をあけてみると、
厚いアルミのサブヒートシンクを抱かせた小さな基板が出てきました。
特性測定
それでは、実際の特性を観測してみます。
最大出力
出力は、約6.6V 4Ωですと約11Wの計算です。電源が14Vでしたので、実際の14.4Vにするともう少し頑張れる感じです。
10W程度で考えたほうがよいでしょうか。
周波数特性
周波数特をみてみましょう。
100kHzでも-3dB強で、スペックを軽く上回っています。すばらしいです。
微小信号
さて、いつものノイズ感を把握するために、微小信号を観測してみます。
少し波形が太いかんじです。このアンプには、スイッチング電源が搭載されていないので、高調波は出にくいはずなのですが、後で原因を探ってみることにします。
電源ノイズ
先に触れた未スイッチング電源のアンプなので、電源のノイズを確認してみます。
と同時に、コンデンサの交換を実施してみました。
多少うねりの様な状態が観測できますが、コンデンサを交換したところ、きれいに対応できました。
ノイズ原因
色々調べたところ、どうやら、GNDの分離に要因があることがわかりました。
分離GND
このアンプは東芝のパワーアンプICが採用されBTL方式を採用しています。
このパワーアンプICには、パワー用GNDとプリアンプ用GNDの2つがあります。
それが抵抗で接続されていますが、その抵抗の電圧をしらべてみました。
どうもGNDが安定せず発信しているようです。
PCに接続したDACですので、PCの不安定な電源のノイズを受けている可能性があります。(PA-304でも値は小さいですが、このような現象がありました。)
GND接続対策
以前PA-304も行った方法ですが、抵抗値を下げたり、コンデンサを並列にする対策を行っていました。
抵抗を10Ωに変更するとだいぶ減少しますが、まだ気になります。
1uFのセラコンで、概ね落ち着かせることができました。
微小信号での効果確認
さて、出力の波形で効果が確認できるでしょうか。
見違えるようにきれいになりました。
これで、ツイータにも安心して使えるようになったと思います。
まとめ
以前より実力の確認とメンテナンスしておきたかったPA-102をようやく行うことができました。その周波数特性は、スペックからはある程度期待していたのですが、それ以上の特性でした。
カスタム内容
今回のカスタム内容をかんたんに
- 入力電源強化
1000uFをOSコンへ - アンプ動作安定化
出力ブースト用コンデンサを高分子へ
アンプ周辺の位相やカップリングは、オーディオ用コンデンサへ - DCカップリング
高分子フィルム化 - ラインGNDとパワーGNDの接続
抵抗値を1/10かつ、コンデンサ追加
スッキリまとまりました。
周波数特性
周波数特性を最終確認として計測
ほとんど変化はありませんが、低域が少しアップアップしています。
高域をもっと改善もできるのですが、この特性は、ナカミチの思想が現れていると思い、オリジナルのままとしました。
いかがでしたでしょうか。この小さなアンプPA-102はもともとすごい実力でしたが、カスタムすることで、SN比を実使用環境で20dB程度向上させることができました。
この小さなアンプの実力を十分に引き出せる方は、上手にアンプの使い方を分かっている方だと思います。
小さなアンプを探されてい方、一考あるとおもいますが、いかがでしょうか。
この小さなアンプで、驚く音質を引き出すことに、ぜひ、挑戦してみてはいかがでしょうか。