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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

ECLIPSE 3242 カスタム・メンテナンス 

ECLIPSE 3242という少し大きめのカーアンプが流れ着きました。少し発振音がするとのことですが、中を開けてみると、その丁寧な、設計には、びっくりしました。
それでも、いつものピアニシモ仕様にメンテナンスをしてみたいと思います。

さて、発振音を解消し、ピアニシモ仕様にすることが、できるでしょうか。

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はじめに

イクリプスの3242は、2ch x2の4chアンプです。

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 出力は、55Wx4ch(2Ωだと110W x4)の比較的大型、そのため、Fuseも20Aが4つもついています。

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クロスオーバネットワーク搭載で、プリ出力もあります。なかなか考えられています。

出力波形

状態を確認するため、出力波形を確認。

今回、100kHzで波形観測してみました。

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少しノイズも見られますが、とても優秀です。

なぜか、リアのLchのみ出力が小さいです。

スイッチ洗浄

このような場合、まずは、接点を洗浄してみます。

接点の洗浄は、エレクトロクリーナで、残留物が少ないものを使います。

(接点復活剤は、分解できないものには、使用を避けています。)

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すべて同じ様になりました。


内部状態

早速内部をあけてみると

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電源回路がFrontとRearきちんと2系統に分かれています。

電源には、たくさんのコンデンサが装着されているのがわかります。

電源構成

その電源をよくみてみると

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二次側が二段構成になっています。

 

また、ハンダ面の配線をよくみてみると、プリント基板の設計は、人の手による丁寧な配線パターンになっています。

コンピュータによる自動配線は、90度配線ですが、45度配線と、随所にRを設けています。

これは、すごく設計に時間を掛けている証拠です。

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また、GNDの一点接続が、きちんと行われています。

電源確認

さて、これから、いつものように、電源の状態を確認してみます。

ブロック図は

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Rearの方に電圧用電源がついています。

一次側

さて、実際の波形ですが

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とても状態がよく、いままで見た中で、一番ではないでしょうか。

一次側のコンデンサは、当方がよくピアニシモ仕様でおこなっている、コンデンサの複合使用が施されています。フィルムコンデンサと、大型のメタライズドが装着され、スパイクノイズが抑制されています。

二次側(電力)

電力用の状態を確認してみたところ

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びっくりです。二次側が10mV程度で、フィルタ後は、すでに測定限界状態です。

 スイッチング素子の足に、ビーズインダクタが装着されているこだわりよう。

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 納得の二次側のノイズ状態です。

二次側(電圧用)

電圧用も確認してみます。

 

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大きめに見えますが、50mV程度のリップルなのでかなり状態が良いです。

それに、後段に定電圧回路を介して、プリアンプ部へ供給されていますので、問題ありませんね。

カスタマイズ

さて、状態は、よかったですが、末永く使えるように高負荷の電解コンの交換と高調波を対策を施すことにしました。

一次側

一次側は、まずは、2つのコンデンサを一つにして、高分子コンデンサで高周波分を効率よく低減させます。

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合理的に低減できたのが確認できました。

入力側にも高分子コンデンサを追加できる場所が設けられていたので、追加すると

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一次側は、きれいにまとまりました。

二次側(電力用)

初段には、比較的高周波の低インピーダンスの電解と、セラコンを配置、後段には、低ESRの電解コンデンサに置き換えました。

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もともと良かった特性ですが、僅かですが、さらに改善ができました。

二次側(電圧用)

電圧用は、コンデンサを高分子に変えて対応してみました。

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リップルを抑えることができました。

OpAmp電源

OpAmpの電源も対策しておきます。

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今回は、インピーダンスが低いのでしょうか、大きめのセラコンで対応することとしました。

発振対策

発信は、トロイダルコアから発生していることがわかりました。

ちょっとしたきっかけで、音がなるようになりますが、電源には影響していないようでした。

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一般的に行っている、エポキシによる固定を施してみました。

これにより、発振は、ピタリと止まりました。良かったです。

 

これで、ピアニシモ仕様の完成です。

カスタム確認

これまでのカスタマイズを確認するために、出力波形を確認します。

出力微小信号

もともと、少し高調波が見られた信号ですが

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スッキリ、細くなっています。

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 周波数特性

最後に周波数特性を確認します。

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ここまで、フラットにこだわっているのはさすがです。

この特性で、高調波ノイズがここまで抑えているのは、電源の設計の良さの為せる技と感じました。

まとめ

イクリプスは、独特な設計コンセプトのあるオーディオメーカであることは周知ですが、アンプの電源設計にここまでこだわりがあるとは、驚きでした。

また、標準でも素晴らしい電源特性には、脱帽です。

現代の高分子や低ESRのチップセラコンが設計当時に一般化されていたのであれば、きっと、このような対策を施したに違いありません。

 

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

 

OWON ハイコストパフォーマンスデジタルオシロスコープ 1Gs/s 100MHz帯域 薄型軽量 SDS1102

 

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