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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

ALPINE JubaClass A Power Amp. 3885 メンテナンス

ALPINEでも大型のClass A パワーアンプがドッグ入してきました。

Duo β回路+Class Aのアンプ。さてどんな音を奏でてくれるのでしょうか。

残念ながら、通電したところ、一度は、Readyになったのですが、再び入れるとReadyにならず、不安定な状態でした。

大型メンテナンスは分解、バラックでの動作が難しいのですが、頑張ってメンテナンスしてみたいと思います。

 

 

はじめに

さすがClass Aアンプ。40W x4chでもこの大きさ、音をぜひききたくなります。

外観

中央にはヒートシンクを配置し

柔らかなFANでも十分に冷却できるダクト構造。

パネルは至ってシンプル。

ブリッジ切り替えとゲインだけです。もちろんダイレクトスイッチもあり、音の劣化を最小限のシステムを考慮しています。

電源は20A x2の構成

余裕の端子台で電源をサポートします。

内部

内部は中央の大きな引き物のヒートシンクを配置。

独立ステレオアンプの2板構成です。

状態確認

早速状態確認ですが、通電しても安定しません。

アンプ部電源

よく見ると電解コンデンサから液漏れが見受けられます。

それぞれ、取り外し、交換しましたが、症状は変わりません。

電源制御部

電源制御部の小さな電解コンデンサにも何やら腐食が

取り外し、洗浄

最後にレジストを塗布します。

それでも直りません。

反対側の電源制御も確認したところ、腐食が見られ、交換。

 

ところが、今度は、電源も入らず....。

 

色々確認したところ、腐食によりスルホール(基板の表と裏の銅箔を接続する工法)が溶解してしまい、電解コンデンサを交換しても半田が反対側まで到達できず、回路が切れてしまっていました。

 

ハトメを用いて、表裏の配線を接続し、もう一度コンデンサ取付。

 

無事、電源が入り、安定するようになりました。

電源は修理完了です。

 

ですが音を出してがっかり。

音のレベルが安定しません。

接点メンテナンス

出力確認をしたところ左から音が出なかったり、スイッチを切り替えると状態が不安定であることがわかりました。

ダイレクト切り替えSW

最初にダイレクト切り替えSW(6P)

外すと、金メッキが黒くなっています。優しく、クロスで磨き、微量の接点復活剤を塗布します。

それでも、安定しません

ブリッジ切り替え

ブリッジ切り替えも同じように

 

腐食を取り除き磨き上げます。

 

スイッチの切り替えはしっかり出来るようになりましたが、電源を入れるたびに、レベルが変化します。

 

まだ、ダメです。安定しません

 

リレーメンテナンス

最後に残るは、出力保護リレーです。これは電流が大きいので銀接点。

開けてみると接点が真っ黒。

かるく磨いただけで、きれいになりました。

(電流の大きい接点では、金はスパーク時に溶解してすぐにだめになってしまいます。)

接点の摩耗も見られないので、新品に近い状態にできたと思います。

 

それでも、まだダメです。

 

RCAのケーブルを触ると安定しません。

RCA接触改善

どうやら、前のオーナーが少し太めのRCAコネクタを使っていたのでしょうか。

信号側の接触子が広がっていて、うまく接触しないようです。

慎重に接触子を少しずつ内側にして、突出量をみながら調整しました。

 

やっと、これで接触問題解決

出力状態

出力状態を確認してみます

スパイクノイズが少し見られます。

カスタム・メンテナンス

きちんと動作する様にになりましたので、高調波メンテナンスを施し仕上げてみたいと思います。

電源回路

簡単にこのアンプのパワー系電源回路を書いてみました。

入力にコモンモードフィルタ、その後ノーマルモードフィルタの贅沢な構成。

 

よく見るとそれぞれプリアンプ用の電源がついています。

電圧用のトランス二次にはコモン配線がありません。

一次側(初期)

一次側は、フィルタがきちんと装着されていて

リップルは、0.5V以下ととても良好な状態。

二次側(初期)

チョークコイルを装着していますので

既に、いくつかのコンデンサを交換していますので、かなり良好です。

高調波カスタマイズ

一次側(カスタム後)

コンデンサの容量及び、高分子、チップセラコンを用いて

抑え込みました。

二次側(カスタム後)

既にコンデンサの効果があるので

セラコンで少し落ち着かせました。

二次側(電圧用)

同じ様に二次側も高調波カスタマイズ。高分子を用いることで抑え込みました。

GND接続

GNDの接続がかなり複雑で、解析に時間を要しましたが、パラメータにより改善出来ることがわかりました。

また、シャシーを入力のGNDとの接続も、若干変更を加え改善。

前回のSANSUIのGNDに近いですが、出力のノイズを見ながら調整を施しました。

まとめ

今回、電源制御回路の不具合解析や、複数の接点不良に悩まされ、時間がながれてしまいましたが、なんとかまとめることができました。

周波数特性

妥当性検証として、周波数特性を確認します。

驚くほどフラット。プリアンプの特性と見間違えるほどです。

出力波形

出力波形は、高調波ノイズがみられましたが

かなり改善されたことがわかります。

仕上がり

内部は、オリジナルに近い状態です。

  • 冷却FAN清掃
  • 端子台磨き上げ
  • RCA磨き上げ
    (信号側の接触子が広がり気味を修繕)

最後にクリーニングします。

その音は、DuoβのとClass Aの組み合わせによりゆったりと静かに流れ、リスナーの元に音楽を届けてくれます。

 

****

 

このアンプはClass AとDuo βの組み合わせのこだわりのアンプです。

ClassAの音を聞いてみたいという方にもおすすめの一台です。

オークションで見かけたら手に入れてみてはいかがでしょうか。

時間は少し頂いてしまいますが、当方でのメンテナンス承ります。

 

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

ヤフオク!

 ヤフオク! ナカミチメンテナンス 出品リスト

 

使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

OWON ハイコストパフォーマンスデジタルオシロスコープ 1Gs/s 100MHz帯域 薄型軽量 SDS1102

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