PA-2004が流れ着きました。大きめのボディで、少し時間がかかりますが、これまでの経験をもとにしっかりカスタマイズしてみたいと思います。
はじめに
PA-2004は、100W x4chのハイパワーアンプです。また、クロスオーバ、ネットワークも装備しており、マルチアンプ化が可能です。
外観
外観は、重厚なアルミ・ダイキャストボディ。
重厚ボディは、重圧な音の基礎となります。
手前のアルミダイキャストの中には、クロスオーバ等のプリアンプ設定スイッチやVRが装備されています。
入出力は、とてもシンプルです。
内部状態
大きなメイン基板とプリアンプの基板の構成です。
右側に電源、左側は、アンプ部のシンプルな構成になっています。
電源状態
早速電源の状態を確認します。
電源は、±36Vの電源からプリアンプの電源±15Vの電源を生成しています。
一次側状態
一次側には、1000uが18個も装着され、高周波数のインピーダンスを低減しています。
200mV以下の良好な状態です。
二次側
二次側も標準的な回路です。
リップルも200mV以下で良好です。
微小出力(-60dB)
微小出力を確認してみました。
少しリップルが目立ちます。
様々な要因があることが、後にわかりました。
カスタマイズ
最初に標準的に副種類の電解コンデンサを用いた対応をしてその効果を確認してみたいと思います。
一次側
18個の電解コンデンサが装備されていますので、高分子やセラコンを複合して対応しました。
200mVが20mV程度の1/10にすることができました。
これならば、入力のコイルは必要なさそうです。
二次側
二次側は、コンデンサの交換と高調波の対策を施してみました。
リップルのレベルは、少し大きくなりましたが、出力の波形への伝搬は、少し改善できました。
もう少し改善がほしいところです。
インダクタ追加対策
二次側にインダクタが無いので、どうしても電流ノイズが伝搬してしまいます。
上記の部分にインダクタを追加して、対策してみました。
やはり効果的です。約20mVにすることができました。
このインダクタの改造を合理的に出来る方法もかなり安定してきました。
これで安心です。
微細信号確認(インダクタ効果)
インダクタの効果を出力の状態で確認します。
さらに出力のノイズが低減されました。
GND接続について
このアンプのGNDは、入力側のGND(Input-GND)と電源系のGND(P-GND)の2つがあり、分離されています。
少しわかりにくいのですが、ブロックで、GNDの接続を記載してみました。
入力(Input-GND)と内部GND(P-GND)は、抵抗で接続されています。
この分離で、発振等があり、これまでの経験で、出力にノイズが伝搬してしまうと考えています。
ただし、直接接続するのは、Side Effectが生じる場合があり、高周波で接続します。
抵抗値も少し、小さくし、高周波接続用コンデンサを追加しました。
最初と比較してみると
改善効果がはっきりわかります。
つづく
基本の電源カスタマイズは
- 複合コンデンサ
- トランスの封止(振動防止)
- トランスのノイズ低減(銅箔テープ)
を実施しました。
また、二次側のインダクタは
合理的に実装できました。
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大きな出力のアンプは、その電源ノイズから分離するために、GNDを分けている場合があります。ときには、効果的なのですが、高周波では、発振してしまうことがあります。今回は、基板上のGND分離が解読できたので、適切な対策が施すことができました。
これで、信号増幅回路のカスタマイズに進むことができます。お楽しみに
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。