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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

ライン信号 矩形波と高調波ノイズ

DACは、素晴らしい音楽を再生する他に、オーディオ機器の確認を行うための、いろいろな信号を簡単に発生できてとても便利です。たとえば、DACから、1kHzの信号を発生した時に同じ周波数でも、矩形波では、高調波成分を含んでいます。

矩形波の信号を測定して、高調波の現象や、影響等を考えて みたいと思います。

 

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 波形の成分

音声、音楽、電気信号は、様々な周波数の成分が合わさって構成されています。

単純な周波数は、正弦波(サイン波)と呼ばれるものです。

まず、はじめに正弦波の成分(周波数分布 FFT)を確認してみます。 

正弦波

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正弦波を1k,20k,40kと発生させました。このときの周波数分布をFFTで計測すると

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となり、該当周波数のところに山形状のピークがあります。

この山の形が鋭ければ鋭いほど、理想的な正弦波になります。

正弦波と矩形波

では、矩形波と正弦波を比較してみます。DACの性能上MAXが20kHzになります。

(40kHzでは、揺れ酷く波形の信憑性がない為です)

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1kHzでは、きれいな正弦波になりますが、10kでは、台形に、20kでは、正弦波になってしまいます。これは、サンプリング速度、DAC、それにOpAmpの性能に影響されそうです。

また20kHzは、波形が太くなっています。ゆらぎが発生している為、太くなります。

DACの特性なのか、ソフトによる影響なのかは、不明です。)

 

FFT比較(正弦波vs矩形波

1kHzの波形で周波数成分を比較してみました。

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50kHz付近まで、逓倍に高調波成分が含まれていることがわかります。

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これは、歪、ノイズではなく、矩形波がその様な成分だからのです。

でも1kHzの音に、約50kHzまでの高調波がのているというのは、疑問が残ります。

矩形波波形解析

ここで注目したいのは、矩形波の波形に乱れがあるのに気づかれた方も(リンギングと呼ばれる現象)いらっしゃると思います。

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赤で丸した箇所です。目標とする波形には、ない成分です。これは明らかにノイズになります。

実は、意外と簡単に、このリンギングを無くす方法があります。これは、別途お届けしたいと思います。

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対策後の波形

リンギングの要因

リンギングの要因は、様々ですが、多く知られているのが、伝送経路の反射による影響があります。ケーブル等では、末端で信号が跳ね返り、戻ってきてしまい、またそれが送られ、波打つ形が形成されます。

例として3mのケーブルを使って測定してみました。

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微妙ですが、高調波がふえているのと、リンギングも伸びているのがわかります。

 

まとめ

皆さんにお伝えしたかったのは、音声データの帯域が上がると、様々な要因で高調波ノイズが発生しやすくなります。

  • DAC等が高性能になると、高調波成分を多く含んだ信号を再生することが
    単純な矩形波等を再生した場合は、顕著になります。

  • ケーブル等の伝送にも、これまでと違った現象が現れやすい。
    高調波は、伝送経路で反射しやすく、また、ノイズの原因に成りやすい。

DAC等の性能が高くなると音も良くなる傾向にあります。でも、ノイズの要因になることも。音楽を聞いていて、頭が痛くなる、長く聞いていたくない、等は、これらの要因かもしれません。

つづく

 今回、矩形波を使って、伝送経路の評価ができやすいと感じました。

ライン信号の接続時に気になっていた、伝送経路のインピーダンスの整合性、ターミネーションの方法等も、少し方向性が見えてきたと思っております。

少しずつですが、また、まとめて紹介してみたいと思いますので、どうぞ、見に来て頂けると嬉しいです。