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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

USAナカミチ PA504 カスタム・メンテナンス②

USAナカミチ PA504のカスタム・メンテナンスの続編になります。
前回、スイッチング電源の動作バランスが悪いのを無事修正できましたので、いよいよピアニシモカスタムを行います。

二次電源のノイズは、簡単に抑制出来たのですが、出力へのノイズへの効果が小さいです。さて、どこまで、高調波ノイズが抑制できるでしょうか。

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おさらい

前回は、プッシュプルのスイッチング電源の動作がプッシュとプルで波形が異なっていました。

昇圧のトランスとチョークコイルの磁気方向が並行だったのを

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垂直に置き換え

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理想通りの波形になりました。

早速二次側の対策を行ったのですが、出力波形への効果が、確認出来ていません。

 

ピアニシモ・カスタマイズ

さて、気を取り直して、一次側からきっちり高調波抑制を行い、出力の高調波ノイズへの効果確認してゆきたいと思います。

一次側

このアンプの一次側は、1000uの電解コンデンサが9個も実装されています。

これは、高調波を抑制しつつ、容量を稼ぐ手法です。

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リップルノイズも程よく抑制されていますが、トランス直下と入力のコネクタ直下であまり差がありません。

これは、供給元の電源へ、スイッチングノイズをヘッドユニットやプリアンプへノイズを伝搬させてしまう可能性がありますので、抑えたいところです。

 

入力の電源コンデンサの配置を確認してみると

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横に広がっており、入力のコネクタとトランスがほとんど直結になっています。
少し遠回りさせたいです。

一次側の分離

一般的に一次側は、入力とトランスの間にフィルタを入れていることが多いです。

回路図にすると、

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この様に、コンデンサを分断して、小さくても良いのでフィルタを入れてみたいと思います。

 

コンデンサの分断は

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の様に行えそうです。

 

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単純に分断するだけで、一次側のリップルもそのままで、入力のリップルが小さくすることが出来たことがわかります。

 

あとは、簡単です。1000uFを1800uFに置き換え、OSコンとミックスして

 

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見違えるような一次側のリップル特性になりました。

 

 

 

二次側(電力用)

二次側の電力用は、チップセラコンにより

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きっちり抑え込みが出来たのですが、

出力波形(電力リップル対策時)

出力の高調波は、

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あまり大きく変化していません。

二次側(電圧用)

二次側をよく解析してみると、電圧増幅用電源が作られていることがわかりました。

その波形を確認してみると

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スパイクが大きいことがわかります。

フィルタを介さないので、致し方ありません。

これは、二次の出力をフィルタを介さずに直接電圧を生成し、約+10V強高い電圧(40V)を得るために行っています。フィルタを入れてしまうと40Vの電圧が得られなくなってしまいます。

 

ですが、電流が小さいので、対策は可能です

二次側(電圧用)対策

原因箇所が判明し、電流が小さいので、対策は、比較的スムーズです。

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パスコン追加や、OSコンを採用することで抑制することができました。

ただし、そのままパスコンを追加出来なかったので、この電圧用電源の引き出しルートを変更して行いました。

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きっちり、スパイクが抑制できました。

これで、スピーカ出力の高調波が抑制できていると良いのですが。

出力確認

さてピアニシモ対策が出力に影響しているか、確認してみたいと思います。

微小出力(-6dB)

少し気になる高調波がありました-60dBの信号ですが

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きっちり押さえることができました。

重ねて確認してみると

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一目瞭然ですね。

周波数特性

仕上げとして周波数特性を確認します。

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みごとに、4chの特性が揃いました。

これは、OpAmpの発振防止コンデンサをスチコンに交換し、バランスをあわせてあります。

カスタム内容

それでは、これまでのカスタム内容をおさらいしてみます。

やはり、振り返ると、作業量が思った以上に多かったことがわかります。

ショート防止スペーサ

一次コイルの端子が太いので、ベースと接触しないようにスペーサが漬けられていました。

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劣化してたので、硬めのスポンジに修正します。

まとめ

USAナカミチPA504をカスタム行い、下記のウィークポイントが見つかりました。

  • 小基板のダイレクトはんだ付けクラック問題
     振動等によりクラックが発生し、プロテクト誤作動が発生。
     一度半田を吸い取ったあと、再半田すると修繕できました。
  • 二次側電圧用電源ノイズ対策
     電圧用電源は、チョークコイルを介していないため、ノイズが多く
     このため、出力に高調波がもれてしまっていた。
     パスコンや高分子コンデンサでの抑制とともに、引き回しの修正が必要

大きく分けて2つでしょうか。

これで、他のPA1002等にも応用が効くとおもいますので、試してみたいと思います。

PA504について

 同じナカミチですが日本とUSAナカミチでは、作りが異なります。

USAのPA504は、同じ4chのPA-304ボディが1.5倍あるでしょうか、放熱効果がよく余裕が感じられます。

 電源もFETでスイッチングして、効率も向上しているでしょうか。

 マルチアンプシステムを考慮して、プリアンプの機能が充実しているとおもいます。
 アメリカンサウンドらしく、Dynamic Bass Processerが装備されています。

 大きなサブウーファを思いっきり鳴らす時に活躍しそうです。

 

前回のカスタム・メンテナンスは

USAナカミチ PA504 カスタム・メンテナンス① - pp audio blog

 

 

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カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

 

OWON ハイコストパフォーマンスデジタルオシロスコープ 1Gs/s 100MHz帯域 薄型軽量 SDS1102

 

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