USナカミチのPA-504のカスタム・メンテナンス整備録を綴ります。
50Wx4chの出力ですが、大きなボディから余裕のある作りであることがすぐにわかります。
はじめに
仕様
仕様は至ってシンプルです
6kgのボディは、巨大なヒートシンクに力を入れていることが伺えます。
また、クロスオーバ等も備えていますので、2chのマルチアンプに簡単にすることができます。
内部
このアンプは、日本ナカミチのカスタムバージョンでしょうか。ノイズ対策が施されています。
入力には、チョークコイルが備わっており
二次側にもメタライズドフィルムが追加されています。
残念なことに、リップル電流が大きいからでしょうか、破損しています。
出力状態
出力状態を観測しました。
少しスパイクが気になります。動作が安定しないことがわかりました。
修繕
色々探ってゆくと、どうも各アンプのプリアンプ基板が不安定です。
交換し、全てはんだ付けし直しで修繕完了です。
カスタマイズ
カスタマイズは、最新の素子を投入し、高調波対策を施します。
- 低ESR電解コンデンサ
高負荷(高リップル電流)の箇所には低ESRのコンデンサを採用
また、スパイクを抑えるため高分子とセラミックコンデンサの複合で対処 - トロイダルチョークコイル
トロイダルチョークコイルを交換しリップル低減、
メイントランスからの影響を対策 - 高調波対策
チップコンデンサを追加し、スパイクノイズを低減 - OpAmp電源
OpAmpの電源に高分子コンデンサを採用し安定化
電源動作の安定動作とノイズ対策を主に施しました。
電源(一次側)
1000uを9個装備されており、高周波数改善を考慮した設計です。
高分子(OSコン)はスイッチング素子に一番近いところに配置し、その後低ESRの電解コンを、その他に容量の大きいものを配置。
効率よく効果的に対策できました。
二次側(電力用)
追加されていたフィルムコンデンサにより少し発振ぎみでしたが
チップセラコンとブロックコンデンサ及びチョークコイルにより改善。
二次側(電圧用)
チョークコイルをバイパスして、少し高めの電圧を生成
これも、高分子を利用することで改善。
まとめ
今回は、動作不安定の原因を解析するのに苦労してしまいました。その後はいつものカスタマイズストーリーできっちりまとめることができました。
調整
調整は、BIAS電流の調整です。
このアンプでは、電流値ではなく、波形観測が適しています。20kHzの正弦波がクロスポイントで歪むのをまっすぐになるように調整します。
出力波形
最後に波形確認を行います。
スパイクノイズが大きく低減しているのがわかります。
周波数特性
最後に周波数特性を観測
低域から超高域までフラットワイドレンジです。
実装は、大げさではなくシンプルに
メインのブロックコンデンサが一回り大きくなっているのがわかるでしょうか。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。
使用した測定器
使用した機器
DAC(D10)
測定用にはD10というDACを用いています。
現在は、後継機のD10Sがあります。
正弦波もとてもきれいです。
オシロスコープ(SDS1102)
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。