再び流れ着いたTP-1200のプリアンプ側のメンテナンスのご紹介になります。
こちらは、チップのオペアンプを交換し、CD系列をフルmuses8820にしてみます。
このプリアンプには、一部チップのOpAmpが装着されており、ちょっと大変そうですが、きっちり仕上げてみたいと思います。
おさらい
前回コントロールユニット側のメンテナンスは、電源を中心に行いましたが、プリアンプ側は、OpAmpの交換とカップリングの交換をさらに行います。
これは、Limitedバーションですので、トーンコントロール部がパスされています。
電源確認
電源回路はスイッチング電源が採用されています。
調べてゆくと、結構な種類の電源を生成しています。
入力の電源(BAT)の振れは、ほとんど見られません。
スイッチング電源の直下(BAT)は振れが見られます。
また、6Vは、上下にリップルが見られます。
10V電源
6V(負側が-4Vあるので10V)のところに高分子を入れてみたのですが、
発振ぎみで、高調波が多くなってしまい、採用できず。
電解コンデンサ+セラミックで対処しました。
緩やかに抑え込み、理想状態に仕上げました。
同じように他の電源も高分子や、電解コンデンサ、セラコンの組み合わせで
まとめ上げ、無理のない、なだらかなリップルに仕上げることができました。
OpAmp交換
チップ部品の交換は、現場では、平コテ 二本と、手が3本が常套手段ですが、手は2本しかないため、低温ハンダを使って取り外します。
*手順*
- マスキング
ハンダが飛び散った時に、他の部品にとりつかないように保護しておきます。
OpAmpをつまんだ後の仮置場所にも使います。 - 低温ハンダ盛り
低温ハンダを足の間が埋もれるようにつけます。
そんなに多くなくて大丈夫です。 - ハンダ x2でつまむ
ハンダ二本で、それぞれの面に当て、ハンダを溶かし、チップが軽く動くのを確認したら、マスキングの上へ、つまんで移動します。 - 余分なハンダを吸い取る
低温ハンダは弱いので、よく吸い取っておきます。
後は、OpAmpを取り付け、パスコンを必要に応じて取り付けます。
カスタム仕様
今回のカスタム仕様をおさらいしてみましょう。
- 電源メンテナンス
高負荷の電解コンデンサを長寿命の低ESRに交換 - 電源高調波対策
リップルを確認し、高調波抑制処置を施します。 - 高分子カップリング
カップリングコンデンサを高分子タイプへ - muses8820
音楽を奏でる musesシリーズのバイポーラ入力のムセs8820 を採用
孤高のプリアンプですが、さらに磨きをかけてみたいと思います。
出力確認
さて出力を確認してみたのですが、muses8820を採用すると、少し発振してしまうことがわかりました。
OpAmpの差動入力の発振防止回路に少し工夫をいれて対応しました。
これできっちりmusesが楽しめます。
周波数特性
いつものように周波数特性を確認します。
CD入力
プリアンプなのでフラットは、当たり前かもしれませんが、驚くほどワイドレンジフラットです。50kHzより少し上昇していますが、回路でその様な工夫がされているのが分かっています。
これは、音作りに影響しているのかもしれませんので、そのままとしています。
Tuner入力
念の為Tunerも確認
この系統は、あえてOpAmpはオリジナルのままですが、周波数特性は、同じ特性であることが確認できました。
まとめ
いかがでしょうか。今回は電源カスタマイズでの高調波改善が顕著ではありませんでしたが、オリジナルの特性が良かったからではと思います。
それでも電源を強化し、ノイズ対策、そして音声ラインへの工夫でまたTP-1200が音楽を優しく奏でてくれるプリアンプになったと思います。
音は、やはり優しさがあふれる、深みのある音になったと感じました。
エージングが進むと少し変わってくると思います。それを楽しむことができるのはオーナ様ですが、みなさんにも、他のピアニシモモデルで、ぜひ紹介したいとがんばりますので、オークションや、リクエストお待ちしております。
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