ロックフォードのパワーアンプ・メンテナンスの4回目です。
最終的な確認を行った所、大きな出力時に不安定になることがわかり、いろいろ原因をさぐって、結局はFETの全交換に。
そんな途中経過で得たリップル低減の副産物を綴ってみました。
おさらい
カーアンプの電源は、電源電圧が低いことより、スイッチング電源が用いられることがほとんどです。また、アンプには、電力増幅用の電源と、電圧増幅用の電源の2系統があることが多いです。本RockFord Punch 250m2もその電源構成を用いていることが分かっています。
さらにLchとRch独立して、電力回路が設けられています。大きな出力を得るための工夫と、チャネル独立の思想と思われます。
電圧増幅電源
今までの検証で、電力の電源の改善は、良好になりました。
電圧増幅用電源
電圧用回路は、ちょうど中央にこっそりと配置されています。
ブリッジと、電解コンデンサのシンプルな回路。
電流が小さいため、シンプルな電源回路が一般的です
実際にも、最初の測定、多少リップルがおおきめでした。
後段に低電圧回路が入っていますので、程々でよいのですが、前回工夫してみました。
サブ基板にして、高調波を素早く戻す工夫をして、
素晴らしい効果を得ることができました。
ですが、まだ100mVあります...
追加検討
電圧電源
この100mVのスパイクが残っているので、気になって、ノイズ元にチョークコイルを入れるトライアルをしてみたところ...
確かにノイズは、小さくなったのですが、電圧が下がってしまう。
(電圧が下がりますが、電力は理論的には、同じになります。)
改造副作用
先に電圧が下がると記載していますが、実は電源は下がらず、電力用の電圧が上昇。
原因は、電圧電源の電圧を一定にするフィードバックが働いている為、この回路の電圧は、一定ですが、他の電圧、電力用電圧が上昇、ということが判明、
残念ながら、断念せざるを得ませんでした。
改めて変更プラン
チョークコイル等、フィルタは、高周波にはインピーダンスが上昇しますが、低周波は、抵抗にはなりにくいので、順番を変えてみました。
小さめのコンデンサで、一旦チャージして、その後フィルタを介し、最後に低周波用の電解コンデンサにすればよいと、考えてみました。
ブリッジのダイオードの整流後をサブ基板で接続、小さなコンデンサで高周波を吸収させます。
その後、オリジナルの電解コンデンサの箇所に容量アップ、低ESRの電解で完成です。
結果、大成功
ほとんどリップルが消え、120mVから40mVに激減。
500mV/Div から100mV/Div にしなくてはならないほどに。
力ずくでなく、合理的に改善することができました。
最終確認
数端数特性と、微小信号の確認を行い舞うs。
f特
オリジナルのf特は良好でした。(低域が減衰ぎみに見えるのは、拡大の為です。)
カスタム後を確認してみました。
アンプ回路に変更を入れていないのですが、低域の改善が確認できます。また、高域もわずかに改善。これは、電源強化と、出力段のFETの交換の効果と考えます。
微小信号
スパイクノイズが目立っていましたが
大分、改善できました。
FET交換背景
出力をアップしてゆくと、発信気味になり、もう一度FETのペアリングを行いました。
一度目は、スイッチング電圧を合わせるだけでしたが、今回は、少しスイッチング電圧が高いものに変更し安定させました。
(全部FETを外して、測定、もう一度はんだ付けした苦労が報われました)
まとめ
今回は、電源の合理的な改善方法を見いだせたと思います。
外観も少し、コスメティックして
出来上がりました。
今までのメンテナンスは、下記よりご覧になれます。
Punch 250m2 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog
*****
一般のオーディオのカスタムは、部品交換して、おしまい ですね。
当方は、考えたカスタムが、本当に効果があるかを測定するのが、一つの楽しみになっています。
もちろん、自分での、音の確認も行いますが、オーナーの方の音の感想がとても楽しみです。
そんな、カスタムやメンテナンスをまた綴りますので、お楽しみに。
カスタム ご希望の方は
当方のブログを見ていただいた方で、同様のアンプを聞いてみた方、オークションで、カスタムしたアンプを出品していることがございます。数はとても少ないので、幸運にも遭遇された場合は、ご検討お願いします。
もちろん、メンテナンスのご依頼もお待ちしております。
使用した測定器
使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ。
廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。
FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。
波形貼り付けもPCにUSBで可能です。
奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。