古いアンプには、最新アンプには無い良さがあり、ファンの方も多いと思います。
ご多分に漏れず当方もナカミチの古いカーアンプのファンで、これまで100台近く修理してきました。中には、コンデンサの液漏れでパターンが溶断してしまっているものも多く見てきましたが、直らなかった基板は、ありませんでした。
そんな、地味な基板の修理を、少しご紹介してみたいと思います。
はじめに
ジャンクや、メンテナンスに送られてくるアンプを開けるときは、いつもドキドキです。
開けてびっくり
今回のアンプは、動作していて、時折音が出なくなるとい状態のもの。
そんなにひどい状態とは思っていなかったのですが...
電源側の基板の裏には、何やら濡れている感じです。
まずは洗浄
電解液は水溶性なので、水で洗浄するのが良いです。少し中性洗剤を加えて、よく流し、乾燥させます。
パターンの侵食がすすんで、一部パターンが切れている箇所もあります。
研磨
いたんだパターンの部品をある程度取り外し、パターンの腐食がよく見えるように、レジストを剥がします。その後、耐水ペーパーで、水研ぎします。
だいぶきれいになりました。
部品側状態
部品側も問題の部品を取り外し、丁寧に洗浄します。
コンデンサの下がかなり厳しい状態になっています。
部品面洗浄
部品面も電解液が染み込んでいる部品は、取り外し洗浄します。
だいぶきれいになりました。
いたんだ、ジャンパ線も取り外し、取り付け穴もドリルで軽く揉み、残留物を取り除きます。
メンテナンス終了
部品交換
コンデンサを現行の性能アップしたものに交換します。105℃、1万時間のコンデンサですので、平均時速20kmとして、20万キロ、最低でも使えることになります。
(あくまでもスペック上の理論値です、使用条件等により異なります。)
レジスト処理
基板を研磨したので、酸化防止のレジストを塗布します。
もちろん動作確認を、行ってから、レジスト処理を行います。
カスタマイズ
ここまでは、メンテナンスですが、その他、カスタマイズを施しました。
高調波対策
比較的大きなチップのセラコン等を装着して、高調波対策を施します。
よく見ると、チップコンデンサが取り付けているのが分かると思います。
(同じ様に、高調波対策をされる場合、コンデンサ容量と、特性の吟味、検証確認が必要です。)
一次側波形
毎回メンテナンス、カスタム後の波形測定を、今回も一部ご紹介します。
5V近くP-Pが、コンデンサ変更と、高分子追加で1Vに、さらに高調波対策で0.3V程度までに改善します。
二次側波形
二次側は、電解コンデンサとセラコン対策です
75mVが25mVまで抑え込めます。
その他
その他のカスタマイズは
- OpAmp(OPA1652)
低消費電力ながら超低歪と高SN比 - DCカップリング
高分子フィルムコンデンサとの置き換え。
容量もアップし、低域のタレも解消、高域は、100kHzまで届きます。 - ゲイン調整
OpAmpのゲインを-6dB分低下させ、入力レベル、ゲイン調整ボリュームアップを可能に。これにより、SN比と、音の解像度がアップします。 - OpAmp電源安定化
OpAmpの電源の放熱対策為、Trや抵抗をアップグレード。
もちろん、平滑コンデンサ、パスコンも施しています。
まとめ
古いアンプで、液漏があり、基板が腐食してしまっても、なんとか直せるものです。
ナカミチのPAシリーズは、その魅力に虜にされた方にとっては、代えがたいアンプで、現在入手できるアンプでは、代役は務まりません。
手間を惜しまなければ、きちんと直せますので、捨ててしまう前に蓋を開けて、トライしてはいかがでしょうか。
カスタムナカミチアンプ
もし、ご自分では難しい方は、どうぞ、当方までご相談ください。
ご相談は、オークションにて承っております。
また、オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札、ご検討ください。