今回、PA-304のメンテナンスを行うチャンスを頂きました。
いろいろ苦労したのですが、今は、エージングで心地よい音楽を奏でています。
やはり、30年クラスのアンプですので、コンデンサの劣化による故障が必ず起こります。元気がなくなったと感じたら、危険信号!
無理やり使うと、復活できなくなることもありますので、お早めに。
初期状態
初期症状
電源いれしばらくすると周期的にボコボコとなる状態とのことでした。
電源の劣化によく見られる症状なので、通常の電源メンテナンスで大丈夫かと思っていましたが...甘かったです。
外観
外観はとても綺麗でした。
内部状態
基板の状態は、とても良く...思えたのですが
実は、フラックスと思っていた黄色い付着物は、コンデンサの電解液...
取り外して部品の状態をみると、電解コンデンサが膨らんでいます。
基板も少し、黒ずんでいます。
コンデンサを早速取り外してみると、
かなりひどい状態でした。
アルコール等で洗浄して電解液を取り除きました。
電源の大型コンデンサをすべてとりはずして。
すべて、もうすでに限界に。
これで電源が出るはず...
動作確認
早速動作確認を行い、電圧が出力されることを確認。
でも、しばらくするとおかしい。定期的に電源が落ちてしまします。
これは、プロテクト回路が働いている証拠です。
異常電圧
スピーカ端子に、10VもDCが出ている...
出力のトランジスタが怪しい。早速交換すると、異常電圧も出なくなり直った。
しばらくは...
電圧ゆっくり上昇
今度は、徐々に異常電圧が出るようになってきた。
一つずつ、電圧を確認、部品を一時的に取り外して原因を探すと、入力段のペアTrの動きがおかしい。
交換すると、電圧の上昇が収まった。
直ったかと思ったら、べつのチャネルも電圧が上昇し始めた
気がつくと、夜中の12時をとおに回っており、
結局、4chすべて交換になってしまいました。
交換終了
結局、結構な部品を交換していました。
動作確認
さて、いつものように、電源の状態を確認するため、リップルを観測。
一次側
これまでに厳選したコンデンサの交換及び、最低限のセラミックコンデンサの追加により、劇的な効果が、今回も観測できました。
(このアンプは、故障して当方のところにたどり着いたので、標準の波形が残念ながら測定できていませんので、以前測定した同モデルのデータを引用しています。)
二次側
同じように二次側も
最低限のカスタムでもここまで改善できます。
OpAmpは、パスコンを取り付けの効果がよくわかります。
セラコン効果
今回も、表面実装のセラコンをポイントに使用しました。
その効果もFFTをあわせて確認しています。
すべて、白い波形の下になっていることがよく分かると思います。
0.1uや1uでは、逆効果になりますので。表面実装で、10or22uが効果あります。
それも、サイズがなるべく大きいのが、低ESRの影響でしょうか。良い結果が出ます。
放熱シート
最後に、放熱シートをボディに貼り付け、組み立てます。
0.5mmの厚みが取付誤差、部品誤差を吸収し密着、放熱を確実な物にできます。
また、次回メンテナンス(ずーっと先のことですが)のときにも、リユーズできます。
ネジは、新品に交換します。
外回りをアルコールでキレイに整えて。
あとは、エージングを行い、お待ちかねのお持ち主へお届けします。
まとめ
今回は、何度もメンテナンスを行わせていただいているPA-304でしたので、動作不納品でも、簡単に治せると思ったのですが、アンプ回路までダメージがあり、時間がかかってしまいました。
それでも、一つずつ、状態を追ってゆくことで、不具合原因がわかる、やはり、シンプルなアンプならでこそではと、思います。
本ブログによっていただいている方の多くがナカミチファンだと思っていますが、ぜひ
長く使いたいのでしたなら、最新の長寿命(1万時間)のコンデンサに交換されることをおすすめします。
少し音に元気がなくなったと感じられましたなら、即使用を中止して、メンテナンスへ。
取り返しがつかなくなる前に。
メンテナンス承ります
ご興味ある方は、ぜひ、お問い合わせください。
お手持ちにPA-302,304,202そしてPA-200xをお持ちの方、カスタム承ります。
お気軽にお問い合わせください。
オークションでも時折電源カスタム品を出品しています。チエックいただけると幸いです。