これまで、ナカミチのPAシリーズをノイズ対策のカスタムを行ってきましたが、単なるコンデンサの交換と高調波対策の違いを説明していませんでした。
今回PA-202のメンテナンスの機会をいただけましたので、
- 初期対策と高調波の違い
- シグナルへの効果、改善
として2回に分けて綴ってみたいともいます。
はじめに
今回のメンテナンスは、電源のメンテナンスから始まり、電源の高調波対策、そして、DCカプリング対策を行います。
初期条件
PA-202等は、歴史のあるアンプですので、標準状態では、動作が難しく、電源を入れると、損傷する可能性がありますので、標準的に行われる電源のメンテナンスを行います。
電源のメンテナンスは、電解コンデンサのアップグレード交換を基本として実施。この工程では、超低ESRの電源用コンデンサを主に用います。
(オーディオ用は、電源としての改善効果が小さいので、電源用コンデンサを採用します。)
このレベルでも、高価なオーディオ用電解コンデンサを採用したものより、効率的な改善が可能になります。
基板状態
PA-202の基板状態です。
一枚基板でシンプルな構成になっていて、扱いやすいです。
電源ブロック図
基本的な電源回路は、PAシリーズ共通になっています。
初期対策状態(① 入力ノイズ)
電源コンデンサを一通り交換した後の一次側の状態です。
数mVと優秀な状態になりました。
初期対策状態(②一次側)
一次側の状態です。コンデンサを2200uから4700uに物理サイズが許す限り大きくしてあります。
スイッチングするので、かなりノイズは、大きめです。
高調波は、いくら、超低ESR電解コンデンサでも、吸収することはできなかったです。
初期対策状態(③、④ 二次側)
二次側を同様に測定してみます。
電力用(左)は、20mV程度で収まっていますが、電圧用(左)は、スパイクが大きいですね。これでも、コンデンサの容量は、倍にして、低ESRを装着しての結果です。
初期対策状態(オペアンプ電源)
音で大事なOpAmpの電源です。
高調波が確認できます。これは、電源がパターンで、パスコンが無い為です。
この状態で、いくら高価なOpAmpと交換しても、価値が半減してしまいそうですね。
高調波対策
これからが、肝心です。適切な箇所に高調波対策を施してゆきます。
高調波対策後(① 入力ノイズ)
入力の電解コンデンサの交換と、セラコンを追加をしています。
ほとんど、測定できない程度に収まりました。
高調波対策後(②一次側)
かなりスパイクがきつかったですが、どこまで抑えられるでしょうか。
1/4になったでしょうか。レベルと高調波両方とも、抑えられています。
この組み合わせと値には、かなりの時間を要しました。
高調波対策後(③二次電力用)
電力側は、初期対策での効果で、かなりレベルが下がっていましたが、さて、高調波対策は、有効でしょうか。
レベルと高調波が少なくなってヒゲがなくなりました。
この一工夫が、高域のスッキリ感につながっていると思います。
高調波対策後(④二次電圧用)
電圧用は、電解スパイクが大きかったですが、さてどうでしょうか。
綺麗にスパイクが抑えられています。
高調波対策後(オペアンプ電源)
大事なOpAmpの電源です。これは、シンプルにラジアルリードのセラコンで。
これも、ほとんど測定限界になりました。
この、ひと手間が、ナカミチのアンプの魂をより、輝かせてくれると思っています。
つづく
今回は、通常のコンデンサ交換と、高調波対策を比較してみました。
単なる交換では、もったいないと思われるのではないでしょうか。
この対策で音が良くならない理由は、見つかりませんので。
次回は、標準状態での周波数特性と、ノイズ、そして、カプリングコンデンサ交換後の波形等を確認してみたいと思います。
お楽しみして下さい。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。