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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

オーディオと電源回路 (ナカミチ PA-2004カスタム)

ナカミチ PA-200xシリーズの2台目になります。今回はNormal Versionです。
これまで扱った中でも最もヘビーです。オーディオでは、

 重い(質量が大きい)ー> 振動しにくい -> 音がいい

と言い伝えられています。

さて、どうでしょうか。

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PA-2004 カスタム

 標準状態

内部は、この様になっています。

 

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右に電源部があり、左は、4chアンプ回路が並んでいます。
上部には、プリアンプの基板がついており、ケーブルで、アンプ部とつながっています。

故障解析

依頼者より、事前に、一つのチャネルだけ、ガサガサいうという音がするとの、情報により、恐る恐る電源を入れてみると、4chのうち2ch目がその状態でした。確認手順は、作業が比較的かんたんなことからはじめました。

  1. OpAmp部電源電圧確認
     +/-15V出ていました。(回路にリワークが入っていました。)
  2. OpAmp交換
     OpAmp交換でも特に状態変化なし
  3. 電解コンデンサ交換
     音は少し良くなりましたが、症状は、変わらず
  4. 電圧増幅Tr 電圧確認
     さわれないほど熱くなるTrの電圧がどうも2chのみおかしい。

ということで、電圧増幅用Trを交換してみたところ、復旧しました。

 

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故障箇所

その後、通電して、安定するかどうか、確認した所、電力トランジスタが加熱し、14Vの電源が過電流を検知し、追加でトランジスタの交換を余儀なくされることに。

 一次側電源状態

さて、基板が治ったところで、やっと標準状態の電源を観測することができます。

一次側の電源は、470uF x16個の構成です。さて、どの程度リップルの抑制能力があるでしょうか。

 

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一時電源状態

 90mV強ですので、まずまずです。

 

 一次側電源改善

今回は、リップルが大きいので、ハイブリットにて対応してみました。

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一次側電源改善

ほとんどリップルがなくなるほど改善できました。

二次側電源標準状態

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二次側電源状態

ちょっと、スパイク、高調波が多いです。これは、影響しそうです。

0.8V近く出ています。直るでしょか。

二次側電源改善

大きい割には、コンデンサを配置する場所が限られています。ミニ基板でハイブリッドで対応してみます。

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二次電源 ミニ基板改造

三角形にして、うまく取り付けるように工夫しました。

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二次電源改善

100mV以下にすることができました。

(このミニ基板とは、別に、チップセラコン等で、スパイスを利かしての結果です。)

 

アンプ部

ヒートシンク取付

アンプ部は、最初に壊れたTrの放熱対策をまず、行います。
市販のヒートシンクに良いものがなく、いつものアルミのアングル材を加工して作ります。

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ヒートシンク制作

16箇所もあるので、時間がかかりました。

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ヒートシンク取付

手でサワれるようになったので、これでもう、壊れることは無いでしょう。

不思議と、ヒートシンクを取り付けると、音も、落ち着く傾向があります。

温度が下がるのと、質量のお陰でしょうか。

オペアンプ交換等

OpAmpは、一列タイプのもので、専用の基板にOpAmpを実装し、ソケットにし、取り付けます。
OpAmpを交換すると、ふぁ っと音がすっきりします。

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OpAmp交換
プリアンプ部

プリアンプ部にもOpAmpとフィルタ用電解コンデンサがあります。フラットでつかうにしても、Gain用のOpAmpの交換は必要です。また、ハイパスにも、いれました。

LowPass用とSW用は、影響が小さいので、はノーマルのままにしました。

(プリアンプ部は、後にパスされることも垣間見て。)

 

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プリアンプ部改善

 

まとめ

今回は、修理でかなり時間を取られてしましましたが、無事カスタム完了できてホットしました。

ぱっと見、OpAmp以外は、カスタムに見えない、オリジナルに見えるのが好きです。
やたらに大きな部品をつけるのもよいのですが、カーオーディオは、振動との戦いですので、そのリスクは、今回も回避できたと思います。

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カスタム完了

大事なヒアリングが、いつも、ちょっとなのですが、初めの状態は、ナカミチの魂を聞くことが難しかったですが、今ははっきり聞こえてきます。

高域もスッキリ伸びていて、かつ、きつさがありません。

また、電源を入れてから、しばらくして、音が落ち着いてきます。

ゆったり聞けます。

できればフラット設定で、ゲインは、中間程度で、使えると良いと思います。

 

これから、末永く、ナカミチの魂で、音楽を奏でてくれることをねがいつつ。

 

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よりすぐりのナカミチアンプたち)