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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

ナカミチ PA-1002 Custom Edition (1)カスタムメンテナンス

ナカミチPA-1002お預かりしていましたが、その大きさと、分解の難易度から、なかなか手を付けられず、半年が過ぎようとしています。

なんとか分解ができましたので、早速、状態確認とメンテナンス、高調波カスタムをしてみたいと思います。

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はじめに

内部の基板を取り外し、液漏れ等の有無を確認後、電源等のノイズや、出力波形観測を行います。

基本仕様

スペックを調べてみました。

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大きさからすると100Wは、小さ目ですが、100Wをフルにドライブできる熱容量を兼ね備えている、設計思想が読み取れます。

外観

とにかくヘビー級です。

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LowPass,HighPassフィルタや、LowBoostもついていて、Line Outputもあり、このアンプだけで、マルチアンプシステムが簡単に構築できる機能を兼ね備えています。

内部状態

内部を開けてみると

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トロイダルコアトランスを使った、電源に、シャシー自体をヒートシンクとして使っている構造になっています。

大型の4700uFのブロックコンデンサが採用されています。

基板取り出し

トランジスタは、クリップで固定されています。

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金色のオーディオ用(?)電解コンデンサがふんだんに採用されています。

 

慎重に取り外し、仮のヒートシンクをクリップで固定します。

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多少の放熱効果と、不意に触ってトランジスタの足にダメージを与える防御になります。

さらに、スペーサをとりつけ、半田面の作業時の安定化を図ります。

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測定

電源の基本測定を行ってみます。

ハンダ面を確認してみると、

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高調波対策のセラコン0.22uFが3箇所追加されています。

Custom Editionの仕様でしょうか。

一次側

入力のノイズを測定してみます。

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0.1Vほどのスパイクが見られますが、許容範囲内です。

 

二次側

二次側は、35Vの電圧でした。

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これも100mV程度のリップルに抑えられています。

 

セラコン効果確認

電解コンデンサを交換するので、その効果を確認するため、セラコンを外して裸特性を測定しておきます。

一次側(セラコンなし)

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ほとんど変化は観測できませんでした。

小さな電解コンデンサが沢山ついているから元々高調波特性が優秀だったのでは無いでしょうか。

一次側(FFT)

重ね合わせて比較してみます。

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ほとんど差はなさそうです。

二次側(セラコン効果)

二次側のセラコンも外して確認してみます。

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これは良くわかります。高周波数のエネルギーがセラコンによって、低周波数へ変換している効果がわかります。

 

二次側(FFT)

FFTで高調波の状態を確認してみましょう。

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よくわかります。

重ね合わせてみると

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山が抑えられ平滑になっています。

 出力確認

出力の波形を簡単に測定してみます。

-40dB(約30mV)のLineLevelで1kHzの正弦波の観測を行います。

0.22uFのセラコン有無の差も確認してみました。

1KHz出力波形(標準)

 

すこしノイズが大きめでしょうか。セラコンが無いほうがノイズは少なく見えますが

左右波形

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すこし左右で差があるようです。

ノイズも100mV程度ありそうです。

1kHz出力波形(パスコン削除)

パスコン(0.22uF)の効果の有無を見てみました。

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右側の方が、ノイズが逓倍になっているのがよくわかります。

右側のFFTの比較をすると

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スパイクのエネルギーが分散して平滑されているのがわかります。

 

カスタム検討

カスタムは、電源用コンデンサのtanδ等特性を測定し、コンデンサを選定してみます。

  • 入力側
    低ESR品と高分子のあわせ技
    チップセラミックで高調波対策
  • 二次側
    4700uF/50Vよりも、1000uFx5等で高周波特性を改善
    チップセラコンの選定

さて、どこまで改善できるでしょうか。

つづく

出力のSN比を確認していませんでしたので、追って測定してまたアップしてみます。

また、とても状態がよいので、オリジナルのコンデンサ特性(容量とtanδ)を測定してみたいと思います。

 

 

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