またPA-202が漂着しましたので、メンテナンスのBefore/Afterを綴りたいと思います。
メンテナンス編とSN比、歪率計測編の2編になり、今回は、メンテナンス編です。
今回、外装は、年代を感じますが、内部は良好で、オリジナルのPA-202の状態を測定する良い機会でしたので、もう一度、Before/Afterで比較しみることにしました。
外観
外観は、少し年代を感じますので、綺麗にしてみたいと思います。
さて、どこまで綺麗になりますでしょうか。
ヒートシンク側
表は、汚れが目立ちますが、中性洗剤とアルコール、エンブレムは、ワックスにてみがきます。傷は、タッチアップを施して、目立たなくしてみます。
エンブレム等も磨き上げています。(傷は取り切れていません)
外装の傷は、タッチアップで少し目立たなくなりました。
底板
底板にも汚れと傷がありましたが、洗浄後、ペーパで研磨し、サフェーサー後に近似色でペイント。
写真では、きれいに見えますが、少し傷が残っています。底板ということで、パテ省略してしまいました。
端子ネジ
腐食がひどく見えますが、ネジがかんたんに緩みましたので、磨き上げ後、ネジ交換です。
ネジは、耐電流のクロムタイプと交換。
基板メンテナンス
基板は、そのままでも動作した、今までで一番と言って良い、状態でした。
リップル電流が多く流れる電解コンデンサを交換。カップリングも高分子フィルムに交換です。
検証
メンテナンスの効果を確認しています。コンデンサの交換と、高調波対策の3Stepで観測してみました。
電源の観測ポイントは、下記の3箇所。
(もちろん負極側の測定もしています。)
入力Ripple
状態が良かったですが、ほんの一工夫を。
測定できないぐらい、安定します。
一次側
一次側は、スイッチングされるので、かなりリップルと、高調波ノイズの発生があります。
コンデンサの交換で、スイッチング時の電圧低下が改善されているのがわかります。
高調波対策を施すと(高分子コンデンサ+SMTセラコン)1/4程度になります。
二次(電力増幅用)
電力増幅用にはフィルタが入っていますので、オリジナルでも良好です。
コンデンサを交換後、少しヒゲが大きくなっています。一次側のコンデンサのパワーが上がったためでしょうか。コンデンサ交換のみは、この様な落とし穴が潜んでいます。
きちんと高調波対策を行うと、安心です。
二次側(電圧増幅用)
電圧用には、フィルタ用のコイルが入っていませんのでスパイクは厳しいです。
コンデンサ交換では、電圧レベルは下がりますが、スパイクは残ってしまいます。
SMTのセラコンで高調波対策を行うと、落ち着きます。
OpAmp電源
OpAmpの電源にもRippleが乗っています。
コンデンサ交換でもかなり改善しますが、ターミネーション兼用パスコンを追加すると、測定できないレベルに落ち着きます。
安心ですね。
まとめ
何度も行っているPA-202ですが、状態のよいオリジナルの波形が取れたので比較してみました。コンデンサ交換だけでは、逆に高調波が増えてしまう場合があることがわかりました。きちんと確認が必要であることが改めてわかりました。
次回は、少し無謀ですが、SN比と歪率をデジタルオシロを駆使して測定したいと思います。
カスタムナカミチアンプ
オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札、ご検討ください。