オーディオの接続には、ラインレベル信号が使われます。
その際に使われるのは、RCAケーブルです。同軸のケーブルが使われるのが一般的。
でも、インピーダンスを明記しているケーブルは、ごくわずか。
なぜでしょうか。インピーダンスは影響しないのでしょうか。
前から疑問に思っていたことを、理論的に裏付けしてみたいと思います。
伝送環境
メディアプレイヤーからプリアンプ、プリアンプから、パワー・アンプに接続するこのライン信号の環境は、どうなっているでしょうか。
何度か略図を書いていますが、もう一度おさらいしてみます。
ライン信号は、アンバランス信号で、シングルエンドと呼ばれる伝送方法です。
OpAmpの信号は、GNDを基準にパワー・アンプ等に送られます。
でも、よく見ると、パワー・アンプのGNDではなく、差動で受けていることが多いです。
ケーブルの等価回路
ケーブルは、等価回路にすると、L、R,及びCの組み合わせで表すことができます。
この中でLとCの組み合わせにによって、長くなっても、短くても同じインピーダンスになると一般的に言われいます。
ですが、直流で測ると、無限大でインピーダンスは測定できません。では、どのくらいの周波数でインピーダンスとして現れるのでしょうか。
サンプルとして、カナレ 4E6S の1mケーブルの静電容量と、インダクタンスを元に計算してみました。
C=350pF
L=2.8mH uH
ケーブル単体ですので、アンプ等の入力インピーダンスは、除外しています。
公称インピーダンスとしての数百Ωになるには、1MHzを超えないと高インピーダンス状態となることがわかりました。
ライン信号は、比較的(1kΩ程度)弱いドライブ能力でも伝送できる理由が、ここにあります。
ケーブルにとっては、可聴周波数は、直流に近い扱いなので、インピーダンスとして定義できないことになるようです。
入力インピーダンス含
実際は、接続先のアンプの入力インピーダンスがありますので、それを考慮すると
インピーダンスは、低周波数から入力インピーダンスにになり、高周波数になると下がります。
でも、可聴領域で、インピーダンスが変化しているのがわかります。
100Ωターミネーション
では、ケーブルインピーダンス同等の100Ωでターミネーションするとどうなるでしょうか。
等価回路は、上記になります。
1MHzまで安定したインピーダンスが実現できます。
100Ωのインピーダンスにしたいですね。
ターミネーション抵抗値影響
入力側にターミネーションを入れるのは、現実的ですが、出力のドライブ能力が対応できる機器は少ないのが実際です。
可聴範囲の、ターミネーションの限界値を探ってみました。
1k程度のターミネーションで、インピーダンスが100kHzまで安定するのがわかります。
終端抵抗が小さくなれば、インピーダンスが安定する帯域が広くなるのがわかります。
他への影響
入力インピーダンスを低くすると、帯域のインピーダンスが安定し、伝送上の可聴範囲の周波数特性が改善されますが、入力レベルが下がってしまうことにもなります。
まとめ
あまり入力インピーダンスを気にされることはなかったのではないでしょうか。
50kΩの高インピーダンスで受けると、ケーブルの特性の影響を受けやすくなる傾向があることがわかります。
ドライブ能力が低い(1kΩ)機器を50kで受けるのと1kで受けるのでは約6dBほど、入力レベルが下がってしまいます。
一方100Ωのドライブ能力の機器であれば、50kでも1kでも入力レベルは、ほとんど変わりません。
出力ドライブ能力の大きなメディアを選びたいところですね。
オーディオは、歴史が古く、当初のラインレベルのインピーダンスは、100でドライブは、難しかったし、100kHz程度ならば、インピーダンスを考慮しなくてよかったので、問題視されなかったのでは、と考えています。
予告
矩形波サンプル
この状態で1kHz矩形波の波形を測定してみました。
綺麗ですが、少しグリッジがみられます。
矩形波サンプルFFT
矩形の波形は、逓倍の周波数を合算して作られているのがFFTの周波数成分でわかります。このDACは、50kHzが限界ですので、そこまで、逓倍周波数として観測できます。
ケーブルのインピーダンスが有効となる1MHz帯域の終端ができていない反射の影響が現れていると考えています。
その終端の方法を次回綴ってみたいと思います。
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