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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

オーディオと電源回路 (電源の終端処理)

電源回路のノイズ対策特に高調波ノイズをどのようにしたら低減できるかこれまで、スイッチング電源のノイズ発生源近傍に高周波の低インピーダンスコンデンサを追加し対策してきました。

ですが、実際のOpAmpの電源を測定してみると、信号を入れてないにも関わらず電源元よりノイズが観測することがあります。

少し異色ですが、電源のインピーダンスについて、少し説明綴ってみたいと思います。

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 はじめに

 伝送経路の反射について

インピーダンスの不整合が起こると反射が起こります。様々な方が詳しく説明していますので、イメージで少し掴んでいただきたいとかんたんな絵を作ってみました。

伝送経路を水道管にたとえ、そこに水を流しているイメージになります。

インピーダンスは、水道管の太さ(太いのが低インピーダンス)、終端は、穴の空いた栓をイメージしてみてください。

 終端なし(終端>Z0)

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太い水道管で小さな穴の空いた栓をすると、全体の流量(電流)は、少なくなり、おまけに、端の栓のところで、跳ね返るイメージが分かると思います。

オーディオの伝送では、低インピーの出力で、高インピーダンス入力になっている場合が多いですが、可聴帯域では、ケーブルのインピーダンスが高いので、このイメージは当てはまりません。高周波(100kHz以上)の時に徐々にさがってきます。

すなわち、高調波ノイズは、反射が発生していて、いつまでも収束しないことが、用意に想像できるかと思います。

 適正終端(終端=Z0)

理想とされるインピーダンスでは、水道管と出口のサイズが同じで、抵抗なく、そのまま水が流れ出てゆきます。反射は、起こりません。

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 低終端(終端<Z0)

終端がインピーダンスより低い場合は、どうなるでしょうか。

実は、反射は起こりません。ですが、流量が足りないので、出口のスピードは落ちてしまいます。電圧が下がってしまう、症状が出ます。

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適正な終端をする必要があることが、イメージできたかと思います。

ここで注意したいのは、オーディオの扱うインピーダンスと、高速伝送のインピーダンスとは異なる点です。

可聴帯域(ハイレゾもほぼ含みます)では、ケーブルのインピーダンスは高いのが一般で、可聴帯域を超えて、初めてケーブルは、公称インピーダンスの値に近づいてゆきます。

なので、オーディオの伝送をする場合、ケーブルのインピーダンスでマッチングを行うのではなく、可聴帯域以上の時に、インピーダンスが下がる、コンデンサターミネーションが有用であることが、理解できると思います。

基板の電源回路網

では、電源回路では、インピーダンスはどうでしょうか。考えなくて良いでしょうか。

電源ラインは、送り出しは、インピーダンスが低いのですが、電導経路のインピーダンスが高いことがあります。

パターン電源(パスコンなし)

基板上の電源回路は、どのようになっているでしょうか。

パターンで電源を接続してる例をかんたんなイメージにしてみました。

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この時、電源の+とーは、かなり距離があり、一定の距離になっていません。かなりの高インピーダンスで、均一でもありません。

また、パスコンが無いような基板もあります。その場合、電源の高調波ノイズは、吸収するところが少なく、反射を繰り返し、電波となって放出されることもあります。

問題なのは、高周波としては、開放パターンなので、アンテナになり、外部ノイズを吸収してしまうこともあります。

このような場合、ICが動作していないのにも関わらず、電源元のノイズより、末端のICのノイズの方が大きいことが多いです。

パターン電源(パスコン付き)

マイコン基板などは、ICがスイッチング素子なので、パスコンは、必須です。

ですが、オーディオの場合は、スイッチングではなく可聴帯域なので、パスコンがついていない場合があります。確かに、可聴帯域は、安定していますが、実際の電源を調べると、高調波ノイズが観測されることがあります。

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OpAmp電源例

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電源元に高調波は、確認できないのですが、終端のOpAmpに高調波が観測されます。

色んな所からのノイズが電源ラインに載り、反射を繰り返して、大きくなってしまっているようです。

そんな時、ラジアルリードタイプのセラコンをつけると、綺麗になくなります。

多層基板

多層基板の場合は、どうでしょうか。

かんたんなイメージですが、電源プレーンとGNDプレーンがありそれぞれICに接続されます。

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多層基板ICノイズ

ICの電源を電源を確認するとパスコンの有無では、歴然の差です。

 

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プレーン端のノイズ

でも、パスコンの無いところは、どうでしょうか。

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対面するプレーンは、計算上は、インピーダンスが10Ω以下で、それでも伝送する高調波は、末端で反射してしまいます。

プレーン端のパスコン

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電源プレーンが大きく、なにもないのに末端まである場合は、終端の意味でパスコンを装着するのが良いです。EMI対策にもなります。

その際、電源プレーンのインピーダンスを計算して、それより小さなESRのコンデンサを終端に取り付けるのが良いでしょう。

オーディオでは、多層基板は、高価なので使用されることが少なく、サンプルに出会えていませんが、もし、良いサンプルがあれば、更新してご報告したいと思います。

 

まとめ

インピーダンスは、伝送経路で重要視され、終端処理も検討されます。ですが、意外と電源の終端処理は、疎かになっているのでは。

OpAmpの電源は、意外とノイズが観測観測されますので、パスコンを取り付けるのがおすすめです。

オーディオには、高調波ノイズは、害にしかなりませんので、なるべく抑えたいものです。

 

 

 

 

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