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オーディオと電源回路 ピアニシモを聞くために

ECLIPSE 3242 カスタム・メンテナンス 

ECLIPSE 3242という少し大きめのカーアンプが流れ着きました。少し発振音がするとのことですが、中を開けてみると、その丁寧な、設計には、びっくりしました。
それでも、いつものピアニシモ仕様にメンテナンスをしてみたいと思います。

さて、発振音を解消し、ピアニシモ仕様にすることが、できるでしょうか。

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はじめに

イクリプスの3242は、2ch x2の4chアンプです。

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 出力は、55Wx4ch(2Ωだと110W x4)の比較的大型、そのため、Fuseも20Aが4つもついています。

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クロスオーバネットワーク搭載で、プリ出力もあります。なかなか考えられています。

出力波形

状態を確認するため、出力波形を確認。

今回、100kHzで波形観測してみました。

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少しノイズも見られますが、とても優秀です。

なぜか、リアのLchのみ出力が小さいです。

スイッチ洗浄

このような場合、まずは、接点を洗浄してみます。

接点の洗浄は、エレクトロクリーナで、残留物が少ないものを使います。

(接点復活剤は、分解できないものには、使用を避けています。)

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すべて同じ様になりました。


内部状態

早速内部をあけてみると

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電源回路がFrontとRearきちんと2系統に分かれています。

電源には、たくさんのコンデンサが装着されているのがわかります。

電源構成

その電源をよくみてみると

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二次側が二段構成になっています。

 

また、ハンダ面の配線をよくみてみると、プリント基板の設計は、人の手による丁寧な配線パターンになっています。

コンピュータによる自動配線は、90度配線ですが、45度配線と、随所にRを設けています。

これは、すごく設計に時間を掛けている証拠です。

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また、GNDの一点接続が、きちんと行われています。

電源確認

さて、これから、いつものように、電源の状態を確認してみます。

ブロック図は

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Rearの方に電圧用電源がついています。

一次側

さて、実際の波形ですが

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とても状態がよく、いままで見た中で、一番ではないでしょうか。

一次側のコンデンサは、当方がよくピアニシモ仕様でおこなっている、コンデンサの複合使用が施されています。フィルムコンデンサと、大型のメタライズドが装着され、スパイクノイズが抑制されています。

二次側(電力)

電力用の状態を確認してみたところ

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びっくりです。二次側が10mV程度で、フィルタ後は、すでに測定限界状態です。

 スイッチング素子の足に、ビーズインダクタが装着されているこだわりよう。

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 納得の二次側のノイズ状態です。

二次側(電圧用)

電圧用も確認してみます。

 

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大きめに見えますが、50mV程度のリップルなのでかなり状態が良いです。

それに、後段に定電圧回路を介して、プリアンプ部へ供給されていますので、問題ありませんね。

カスタマイズ

さて、状態は、よかったですが、末永く使えるように高負荷の電解コンの交換と高調波を対策を施すことにしました。

一次側

一次側は、まずは、2つのコンデンサを一つにして、高分子コンデンサで高周波分を効率よく低減させます。

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合理的に低減できたのが確認できました。

入力側にも高分子コンデンサを追加できる場所が設けられていたので、追加すると

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一次側は、きれいにまとまりました。

二次側(電力用)

初段には、比較的高周波の低インピーダンスの電解と、セラコンを配置、後段には、低ESRの電解コンデンサに置き換えました。

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もともと良かった特性ですが、僅かですが、さらに改善ができました。

二次側(電圧用)

電圧用は、コンデンサを高分子に変えて対応してみました。

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リップルを抑えることができました。

OpAmp電源

OpAmpの電源も対策しておきます。

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今回は、インピーダンスが低いのでしょうか、大きめのセラコンで対応することとしました。

発振対策

発信は、トロイダルコアから発生していることがわかりました。

ちょっとしたきっかけで、音がなるようになりますが、電源には影響していないようでした。

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一般的に行っている、エポキシによる固定を施してみました。

これにより、発振は、ピタリと止まりました。良かったです。

 

これで、ピアニシモ仕様の完成です。

カスタム確認

これまでのカスタマイズを確認するために、出力波形を確認します。

出力微小信号

もともと、少し高調波が見られた信号ですが

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スッキリ、細くなっています。

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 周波数特性

最後に周波数特性を確認します。

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ここまで、フラットにこだわっているのはさすがです。

この特性で、高調波ノイズがここまで抑えているのは、電源の設計の良さの為せる技と感じました。

まとめ

イクリプスは、独特な設計コンセプトのあるオーディオメーカであることは周知ですが、アンプの電源設計にここまでこだわりがあるとは、驚きでした。

また、標準でも素晴らしい電源特性には、脱帽です。

現代の高分子や低ESRのチップセラコンが設計当時に一般化されていたのであれば、きっと、このような対策を施したに違いありません。

 

カスタムナカミチアンプ

オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

 

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ナカミチ PA-304S ピアニシモ・カスタム ('21-06)

状態の良いPA-304Sが入手できましたので、ピアニシモ・カスタムしてみたいと思います。
OpAmpは、少し高価ですが、音楽を奏でるためのmuses02を採用してみたいとお思います。

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はじめに

このPA-304Sは標準のPA-304の電源強化タイプです。
電源のスイッチング素子にFETを使っており、フィルタのコイルも大型タイプのものが使われています。

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内部の状態はとても良好で、液漏れ等は、ありませんでした。

あまり使用されていなかったのではと思われます。

動作確認

動作確認は、問題なくできたのですが、少し確認してゆくと、OpAmpの電源が24V/-16Vとアンバランスで、40Vを超える電圧が印加されていました。

これは、OpAmpの電源供給用低電圧ダイオードが壊れてしまったことによることが判明。

このOpAmp電源回路は、いつもの仕様にカスタムして、きちんと電圧が出るようになり、修理完了です。

 

カスタムポイント

カスタムは、これまでの経験を元に、目的、効果を考えポイントを抑え行います。

  • 電源の高調波対策

     各ポイントに合わせた容量のセラコンできっちりと高調波を抑制

  • ゲイン調整

     入力のインピーダンスは変更せず、アンプのゲインを-6dB

    ハイレベル入力により、ノイズマージン、低歪化に効力を発揮

  • 高分子フィルムによるカップリング

     電解+メタライズドフィルムを単独の高分子にすることで、

     低域から高域まで、単一の素子で伝搬。

     素子間の干渉をなくし、素直な伝送経路を実現

  • muses02

     スペックではなく、音そのものを伝搬させるためのOpAmpを採用

     OpAmpの電源もmusesに合わせて、カスタム調整

  • ボリューム
     メタルシールドタイプのボリュームを採用。
     接触不良や安定性のみならず、音質低下を抑えます

電源確認

 まず、測定でよく分かる電源の改善を確認します。

一次側

一次側は、2V近くリップルが標準であります。

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いつものように、半分以下に抑え込んでいます。

二次側(電力)

チョークコイルは、スタンダードのPA-304に比べしっかりしているものなのですが、測定してみたら、意外とESRが大きく、いつものトロイダルコアの方が良さそうです。

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トロイダルコアによる効果と、低ESRの電源用 電解コンデンサの相乗効果で

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電圧変動を抑えることができました。

二次側(電圧)

電力はすくなめなのですが、スパイクが目立つ電圧用電源は

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きちんと抑えているのが確認できます。

OpAmp電源

OpAmpの電源は、PA-304のアキレス腱でもありますが、放熱の対策をしっかり行い、

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きっちり抑え、OpAmpへの影響を無視できるレベルであることが確認できます。

今回は、muses02Dなので、16Vの電圧に調整しています。

出力信号

これらの効果をアンプの出力端子の状態で確認します。

微小信号

少し大きなノイズが観測された

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-80dBと微小なレベルにも関わらず

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ピアニシモ仕様を謳える、基本波がしっかり確認できる様になりました。

周波数特性

周波数特性は、カップリングの効果が現れます。

 

低域のみならず高域でも改善が確認できます。

まとめ

幾度となく繰り返した高調波対策が収束方向に向い、対策がまとまってきました。
今回のアンプは、一部修繕が必要でしたが、状態はよく、効率的にカスタマイズをすすめることができました。

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基板実装は、シンプルですが、実力は、これらの数値が物語ってくれます。

ハンダ面は、一時電源のコンデンサを銅箔で強化しています。

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完成です。

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端子台ネジもスピーカ用は、幅の狭いものに統一して完成です。

ヒアリング

 とにかくmuses02Dは、アコースティクな楽器を特に美しく歌ってくれます。

 きっと、muses02に託されたエンジニアの思想の現れでしょう。
PA-304Sの魂を大事に、その能力を引き出し、muses02がぴったりなアンプになったと思いっます。

さて、この楽しみは、どんな方の手元に届くでしょうか。

 

***

 

いかがでしたでしょうか。一度聞いてみたいと思われたなら嬉しいです。

もし、同じ様にカスタムをしてみたいと思われたらプロフィールのメアドまでご連絡お願いします。

 

これまでのPA-304のメンテナンスは、下記よりご覧になれます。

 

PA-304 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

 

カスタムナカミチアンプ

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波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

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ナカミチ PA-302 ピアニシモ・カスタム 整備録 muses02仕様

今回は、PA-302を国産OpAmpのmuses02仕様で仕上げてみます。
musesシリーズは、”~ひとの感性に響く音を追求~”のコンセプトの元に開発されたOpAmpで、オーディオ用として特別の配慮を施されているそうです。

見落としがちなのは、この musesシリーズは、電源電圧が標準で15V、最大16V、絶対最大値18Vの仕様になっており、PA-302は、20Vの機種もあり、少なくともそのまま使うのは、好ましくありません。

いつもの高調波対策を施した後、OpAmpの電源を調整し、OpAmpの性能をフルに引き出す、ピュアアナログアンプに仕上げてみたいと思います。
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 はじめに

念の為、PA-302の仕様をおさらいします。

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PS-302だけは、カップリングにフィルムコンデンサを用いています。
生産時期により、2.2uFが一つのものと2個使いのものがあります。低域に若干の違いが容量の違いにより生じます。

このPA-302は、2.2uFが一つ使いの仕様でした。

もちろん、高分子にして、容量もアップのカスタム予定です。 

基板状態(ハンダ面)

裏蓋をあけてみると、

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少し液漏れがあります。

基板状態(部品面)

基板をとりだしてみると、一次側の電解コンデンサの液漏れが見えます。

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基板洗浄

電解液がついたまま、半田コテを使うと、半田コテも腐食してしまうため、め一旦軽く洗浄後、部品を取り外します。

 

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近傍のジャンパや、抵抗、ダイオードも取り外し、基板をきれいにします。

パターン研磨

部品を取り外したので、パターンの研磨を行い、酸化した銅箔をきれいにして、侵食が進まないようにします。

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すべての確認の後、レジストを塗布して仕上げます。

部品組み込み

いつもの、電源専用の電解コンデンサ等の部品を取り付け、標準整備状態に仕上げ、動作確認を行います。その後、高調波対策を施します。

カスタマイズ

カスタマイズは、標準整備状態で、電源の状態を確認し、その後高調波対策を施します。

一次側ノイズ

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電解コンデンサが交換されているので期待して確認します。

入力ノイズ

標準整備でもかなり良好です。

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高調波対策を施すと、いつもの安心できる状態になりました。

一次側ノイズ

スタンダードのPA-302では、3Vを超えるスパイクが観測できますが、電源用コンデンサと、コンデンサ接続を2倍の直径ケーブルにしたことで、かなり低減しています。

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そこに、チップセラコンと高分子を追加することで、いつもの0.3V程度におちつきました。

 

 

二次側(電力用)

フィルタのコイルがPA-302とPA-302Sとで、異なっています。
PA-302のコイルは、幾分鋭角な波形になっています。

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コイルと、セラコン追加でなだらかになりました。

 

二次側(電圧用)

スパイクのキツめの電圧用は

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セラコンで抑え込みます。

P-Pが250mVが60mV程度になりました。

電力用電源(アンプ基板側)

アンプ側の電力用電源の状態は、標準で、リップルがわずかに観測できるレベルでしたが。

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電源基板側の対策効果で、いつものように、測定限界近くになりました。

OpAmp電源

OpAmpの電源は、大元の強化だけでは、誘導によると思われる高調波がきになります。

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パスコンをOpAmp直下に追加することで、抑え込みます。

また、電源電圧を

 19.5V ー>16V

に変更しました。それに伴い、電流制限抵抗も変更しています。

出力確認

最後に、カスタム確認の為、微小信号と、周波数特性を確認します。

 

微小信号

もともと良好でしたが

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さらに改善、測定限界近くになっています。

周波数特性

周波数特性は、高分子フィルムコンデンサにより低域が改善され、

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ほぼフラットになりました。

まとめ

電解液による基板の腐食は、パターンの溶断はなく、手間はかかりましたが、きっちり修繕できました。 

カスタム後実装

いつものように、スッキリと、標準実装仕様として耐えうる状態にしています。

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  • 電力電解コンデンサ
     結局すべて交換。
  • フィルタコイル
     電力用電源のフィルタのコイルは、トロイダルコアに変更。
     磁気漏れによるノイズ減少が見込めます。
  • OpAmp
    muses02を採用できるように電源電圧を16Vに調整。
    その分、電流制限抵抗も変更しています。
    もちろんSN比の向上、ハイレベル入力仕様、OpAmpのゲインを-6dB。
    これにより、OpAmpの能力を発揮できるようになりました。
    msues8820と同等のプロセスで、違いの楽しみは、オーナの方の特権です。
  • VR交換
    大型のメタルシールドのボリュームに交換。
  • カップリング
    高分子フィルムは、カップリング用にとても適しています。
    大きなフィルムコンデンサも良いですが、装着が難儀です。
    最近、同じナカミチのチューニングアンプで見受けられるようになりました。
    だいぶ浸透してきて、嬉しいですね。
カスタム後基板面

レジストを塗布し、仕上げています。

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外観仕上げ

外観は、清掃とタッチアップを行い整えました。

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端子台も磨きあげました。

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 新品の端子ネジをとりつけ、完成です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
PA-302は、内部の構成が余裕があり、OpAmpの違いを楽しむ良いアンプだと思います。
もし状態のよいPA-302と出会うことができたなら、ぜひ、メンテナンスに挑戦してみてはいかがでしょうか。

  

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(三万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

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ピュアアナログパワーアンプ PA-300II カスタム・メンテナンス(整備録)

ガレージで長年その時をまっていたのでしょうか。少し腐食が見られるPA-300IIが流れ着きました。
腐食は、浸水等であると、内部基板のダメージが懸念されますが、このPA-300IIは幸いなことに、外見のみの腐食。

PA-300IIを、その素直な、広がりのある音に、復活させてみたいと思います。

電源のノイズを抑え、ゲインを調整して、カスタマイズして蘇らせてみたいと思います。

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 はじめに

ナカミチのアンプでもカップリングの入っていない、DCストレートは、このアンプだけでしょうか。
ゲインも入力を絞るのではなく、フィードバックにて対応しています。

(すなわちゲインをいじるとアンプの表情が変わるということにもなります。)

仕様

黒アンプは、後継機より、スペックが良い部分が少しあります。

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出力は75Wで通常に使う分には十分なパワーがあり、歪や、SN比は、後継機種よりも優れています。

外観

フロントパネルに腐食が見られます。

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LowCutの入力のRCAが腐食しているのが、確認できます

底面は、比較的きれいです。

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ネジがサビているのが気になります。よく見ると、パネルも腐食が少し見られます。

底板をはずすと、

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パネルが腐食しているのがわかります。

内部基板

絶縁シートを取り除くと、基板が見えます。

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基板には、著しい、損傷は、なさそうです。

基板取り出し

基板は、電源とアンプ基板(L/R)の三枚構成になっています。

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外装メンテナンス

まずはじめに、外装をメンテナンスしてゆきます。

フロントパネル

フロントパネルから、端子台とヒューズのはんだ付けを外して、とりはずします。

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フロントパネルの腐食がよくわかります。

下地処理

サビが塗装の下に侵食しているので、丁寧に剥がします。

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RCAのシルクは、残すことができませんでしが、後で、シールを作成して、対応してみたいと思います。

 

下地から、塗装までは

  1. 研磨
  2. サビ転換剤塗布
  3. プラサフしょり
  4. 研磨、マスキング
  5. 塗装

の工程を行います。

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シャシーブラックは、シボのような塗装にすることができます。

大事なシルクは、マスキングして、残します。

反対側のパネルも、錆取りから、同じように処理して、仕上げました。

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電源カスタマイズ

電源の動作確認を行っていますが、どうも、うまく立ち上がりません。

修理

コンデンサの腐食は、なさそうでしたが、よく見ると小さな電解コンデンサが、わずかに、いくつか液漏れを起こしています。

電源基板のコンデンサを交換しても、直りません。

どうもアンプ回路のプロテクト信号がご動作しているようです。

調査してゆくと、プロテクト信号のディレイ用電解コンデンサが液漏れしており、その近傍に合ったトランジスタが壊れていました。

トランジスタを交換して、無事に修理完了です。

 

電源入力ノイズ

基板カスタマイズは、高負荷のコンデンサを電源用の長寿命タイプに交換し、その後、高調波対策を施し、ピアニシモ仕様に仕上げました。

 

電源は、入力と一次側(スイッチング直下)の確認です。

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一次側は、1V程度の振幅があったものを、0.3V程度に程々に抑えています。

また、入力端子のノイズは、高分子とセラコンで、ほとんどノイズ漏れがなくなります。

 

二次側(電力)

PA-300は、フィルタが装着されていないので、何度もいろんな方法を試してきました。

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高分子コンデンサと低ESR電解コンの組み合わせで、振幅を抑え、チップラコンで高調波をおさえました。

二次側(電圧)

電圧用もその尖塔波形が厳しいです。

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これも、効果的な、組み合わせ方法で、合理的に抑えることができました。

OpAmp電源

OpAmpの電源は、誘導と反射のノイズが観測されると考えています。

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エネルギーは小さいので、セラコンで抑えることができます。

出力波形

最後に、微小出力と周波数特性を確認します。

微小出力

ナカミチは、ノイズが少ないので、-80dBの状態で確認できます。

(海外のアンプは-60dBで10倍違いますが、それは、目指しているところがちがうためですね)

標準との比較ですが

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わずかに改善していることが分かります。

周波数特性

最後に周波数特性を確認します。f:id:MatsubaraHarry:20210620131101j:plain

 

標準では、100kHzで-6dB程度ありますが、-3dBまで改善しています。

 

まとめ

何度も取り扱っているPA-300IIを極上の状態にしあげてみました。

少し歴史のあるアンプですので、ゲインを少し落とし、使いやすくしています。

この他細かなカスタムをしています。

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基板状態

基板は、突飛実装はせず、いつものようにスッキリ仕上げています。

追加のコンデンサも、一見すると、どれが追加しているかわからないと思います。

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外観

まだ、端子台とシルクがのこっていますが、かなりきれいな状態になったと思います。

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 シルク添付

シールを作成して、欠落したシルクを補ってみました。

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あとは、端子台の入荷待ちになります。

最後に

最後まで、閲覧ありがとうございます。

いかがでしたでしょうか。PA-300IIは、一台持っていたいアンプになったのではないでしょうか。

これまでのPA-300シリーズは、下記よりご覧になれます。

PA-300 カテゴリーの記事一覧 - pp audio blog

 

もし、オークションでPA-300IIやLimitedを見かけたらご検討されてはいかがでしょうか。

 

今までのPA-300のメンテナンスは、下記よりご覧になれます。

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カスタムナカミチアンプ


オークションに当方が電源ノイズ極小カスタムしたアンプを出品していることがあります。数が少ないので、遭遇された場合は、お早めのご入札お願いします。

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使用した測定器

使用している測定器は、SDS1102というデジタル・オシロスコープ

廉価版(3万円以下)でオーディオの帯域では十分な能力を有しています。

FFTを駆使すれば、ノイズや、歪の傾向も見ることができます。

波形貼り付けもPCにUSBで可能です。

奥行きがとても薄いので、机の上に常備しています。

  

 

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ナカミチ PA-302 ピアニシモ・カスタム 整備録 '21-06 No1(Upgade 22 jul)

少し改造が施されたPA-302が流れ着きました。
電力用コンデンサの交換もされているので、液漏れがなく、良好な状態です。

改造の効果を確かめつつ、ピアニシモ仕様にカスタマイズしてみたいと思います。

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 はじめに

念の為、PA-302の仕様をおさらいします。

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基板状態(ハンダ面)

裏蓋をあけてみると、

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至るところにコンデンサが追加されています。

  • 半田の追加盛り
    半田が追加されています。クラック防止にはなるのですが、フィレット(釣り鐘状)が確認できないので、半田状態を確認することができません。
    少し手間ですが、一旦吸い取って、はんだ付けが必要です。
    フィレットは、半田の最低限の品質限度ですので。
  • ダイオード追加
    ショットキーダイオードでしょうか。追加しているのですが、逆電圧印加保護用のダイオードなので、標準のダイオードだけで十分ですので、取り外します。
  • フィルムコンデンサ追加
    最適値か確認して、取り外すか判断します。
基板状態(部品面)

部品は、多少大きめの部品が装着されています。

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  • 電力用コンデンサ
    電力用のコンデンサが交換されています。これにより、液漏れの対策になり、とてもが助かります。
    電源の波形をみて、適切な素子か確認して、交換するかみてみます。
  • メタライズドフィルム
    2.2uと4.7uの大型フィルムがつけられていますが、電源部と、出力段の補正部なので、大きいため、振動に弱いため、戻したほうが良さそうです。
  • 大型抵抗
    容量の大きな抵抗がついています。電力を確認して、ディレーティングを考慮し、交換するか検討します。

色々工夫されていますので、効果を確認の上、交換するか決めてゆきます。

初期動作確認(動かない...)

基板の状態が良いので、通電してみましたが、残念ながら、電源が入りませんでした。

色々調べてゆくと、電源の制御回路の小型電解コンデンサに後付されていたセラコンがどうも吸湿して、抵抗値を持ってしまい、立ち上がらないことが分かりました。

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コンデンサを取り外したら、ちゃんと、動くようになり、ほっとしました。

出力状態確認

出力状態を確認しておきます。

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標準仕様のPA-302より少しよいでしょうか。

まずまずですね。

カスタマイズ

カスタマイズは、電源の状態を確認しながら、修繕してゆきます。

一次側ノイズ

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電解コンデンサが交換されているので期待して確認します。

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残念ながら標準より少し悪くなっています。

追加されている、1.8nFのフィルムコンデンサを外すと少しよくなり

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大きめのセラコンを追加すると、だいぶおとなしくなります。

最終的には、高分子コンデンサを追加して

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いつものレベルになりました。

二次側(電力用)

電力用を確認してみます。

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ほぼ同等です。追加の1.8nFは、あまり効果を発揮していなさそうです。

 

いつもの電解コンデンサ、インダクタの交換、そして大きめのチップセラコン追加を
施します

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いつものように、レベルの低減はわずかですが、鋭角な波形が優しくなっています。

二次側(電圧用)

スパイクのキツめの電圧用は

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良い感じに見えるのですが、縦軸が100mVスケールですので、やはり、いつもの状態方がよさそうです。

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P-Pが250mVが60mV程度になりました。

電力用電源(アンプ基板側)

アンプ側の電力用電源の状態は、標準で、リップルがわずかに観測できるれべるです。

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電源基板側の対策効果で、いつものように、測定限界近くになりました。

コンデンサはいつもの電解コンデンサ+オーディオ用に交換しています。
また、最終段に小さめの高分子フィルムを追加のおまじないを施しました。

OpAmp電源

これは、電源を強化し、パスコンを追加をほどこします。

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出力確認

最後に、カスタム確認の為、微小信号と、周波数特性を確認します。

 

微小信号

もともと良好でしたが

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さらに改善、測定限界近くになっています。

周波数特性

周波数特性は、高分子フィルムコンデンサにより低域が改善されています。

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まとめ

改造が施されたPA-302は、液漏れの被害がなく、カスタマイズが容易に進みました。

 

カスタム後実装

いつものように、スッキリと、標準実装仕様として耐えうる状態にしています。

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  • 電力電解コンデンサ
     結局すべて交換となりました。
  • 大型抵抗
     標準仕様の倍の容量の抵抗にフォーミングして交換。スッキリしました。
  • フィルタコイル
     電力用電源のフィルタのコイルは、トロイダルコアに変更。
     磁気漏れによるノイズ減少が見込めます。
  • OpAmp
    muses8820を今回採用してみました。
    柔らかな音がして、PA-302との相性が良いと思います。
    また、OpAmpのゲインは-6dB下げています。
    これでOpAmpへの入力信号が大きくでき、音のヤセとSN比の改善が見込めます。
  • VR交換
    大型のメタルシールドのボリュームに交換。
カスタム後基板面

基板の洗浄を施し、芋状になっていた半田を吸い取り、フィレット状態にしあげました。

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電源のコンデンサは、銅箔版で補強しています。

 

外観仕上げ

外観は、清掃とタッチアップを行い整えました。

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端子台も磨き上

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 新品の端子ネジをとりつけ、完成です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。PA-302は、大きめのアンプですが、大味ではなく、とても繊細な表現が得意なアンプです。もし状態のよいPA-302と出会うことができたなら、ぜひ、メンテナンスに挑戦してみてはいかがでしょうか。

アップグレード

オーナ様のご好意により、一年前にメンテナンスしたPA-302をアップグレードする機会に恵まれました。

 

今回は地道ですが、内容の濃いものになります。

電源アップグレード

電源は、これまでの経験により最適なチップセラコンを選定できました。

高分子のコンデンサでも取り切れなかったスパイクを効率よく吸収します。

RCAコネクタ

標準のRCAコネクタは、プレス成形で、時折壊れてしまうことがあります。

重圧な削り出しのコネクタに交換です。(アタッチメントが手作りで少し時間がかかります。)

2mmの板+0.5mmの3枚構造で、絶縁もされます。

OpAmp、スチロールコンデンサ

その他、muses8820をmuses02Dにアップグレード。

また、小容量のコンデンサ(メタライズド)をスチロールへ変更します。

スチロールは、歪が少なく、PA-302と相性がぴったりです。

スチロールコンデンサの容量は、実測し、左右のバランスが取れるものを選定しました。

 

アップグレード妥当性検証

アップグレードにより特性の著しい変化や劣化が無いことを確認します。

これでオーナの方へ安心して送り出すことができます。

微小出力確認

PA-302は良好なので

変化は微小ですが、波形が細くなっているのがわかります。

周波数特性

周波数特性は、ほぼ一致しています。正常に動作していることがわかります。

 

まとめ(2nd)

ピアニシモカスタマイズは、少しずつですがさらに改善しております。

GNDの接続パラメータは、可聴周波数帯域外に効果があります。そんな小さは改善ですが、少しずつ積み重ねてナカミチの魂で、オーナの心を満たすような音をぜひ届けたいと思います。

 

  

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ナカミチ クロスオーバ EC-200H カスタム・メンテナンス 2021-06

EC-200に続いて、MID/ツイータ用のEC-200Hをカスタム・メンテナンスしてみたいと思います。
EC-200も数が少ないですが、EC-200Hはさらに少なく、なかなか見かけることがありません。当方の取り扱いも、数台程度です。
小型ですが、電源が優しい回路で、内部の状態はほぼ問題ないのが嬉しいです。

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 はじめに

EC-200Hは、システムにツイータを追加するためのクロスオーバです。
純正オーディオにツイータを追加する際にレベル調整とカットオフを手元に簡単に切り替えられ、とても重宝します。

EC-200H仕様

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外見は、EC-200とほぼ同じで、周波数の数値が異なるだけです。

切り替えは、1.8kから、6kまでの5種類を選択でき、とても実用的に作られています。

外観

幅が120とコンソールD1サイズより、小さく薄いので、スペースが無い車にも工夫次第で取り付けられます。

裏面にシルクが施されています。

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表面は、QCのシールのみです。

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操作部

シンプルで、とても使いやすい操作パネルです。

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状態確認

早速状態を確認してみます。

微小信号

High側出力は4kHz、Low側は1kHzの微小信号を確認しました。

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とても良好です。

電源状態
一次側

EC-200Hの電源入力には、コンデンサがついていました。

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それにより高調波ノイズは抑制されていて、僅かなリップルが確認できるだけになっています。

二次側(フィルタ前)

二次側は、きれいな三角波が確認できます。

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とても良好です。

二次側(フィルタ後)

フィルタ後も念の為確認します

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測定限界状態で、とても良好です。

カスタマイズ

カスタマイズは、電源のノイズの抑制を中心に行います。
その後、良好な環境が整ったところで、OpAmpを載せ替えます。

一次側

セラコンがついていたので、高調波はありませんでしたが、

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小さめの容量の高分子コンデンサに交換し、高調波もなく、かつ振れも抑えることができました。

二次側(フィルタ前)

電解コンデンサを低ESR品で、少し容量を小さくし、対策。

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かなり良好になりました。

二次側(フィルタ後)

フィルタ後は、もともと良好でしたが、念の為確認します。

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良好で、異常な変動は生じていません。

OpAmp電源

OpAmpの電源もパスコンでしっかり整備します。

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これで、安心です。

出力確認

カスタム後の出力を確認します。

周波数特性

ネットワーク設定を

Low側:8k

High側:1.5k

として測定しました。

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グラフでは高域が落ちているように見えますが、40kHzで-1dBいないですので、とても優秀です。
高域の減衰は、回路上意図的に取り入れているようです。ノイズを考慮した結果と考えています。

また、-18dBの減衰特性が、きちんと確認することができました。

微小信号

はじめに1kHz(Low側)を確認します。

もともと良好だったのですが、

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オリジナル同等であることがわかります。

同じ様にHihg側も

 

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同等です。

まとめ

EC-200Hは、電源のノイズ対策がほどこされ、オリジナルでも良好でした。カスタマイズを行うことで、大きな出力での改善は、確認できませんでしたが、各所の測定で改善が確認できていますので、安心してOpAmpを交換できます。

底板補修

外観はとても良好でしたが、底板を強く磨いたのでしょうか、少し気になりましたので、シボ塗装でしあげしてみました。

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満足な仕上がりですが、残念ながら、裏側ですし、おそらくコンソール内部に隠れてしまうでしょう。

OpAmp

OpAmpは超低歪、低消費電力のOPA1652を採用しました。

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とても小型で低消費電力ですので、ACアダプタをつかって、ホームオーディオのマルチアンプ化にも、つかいいやすいと思います。

あまりお見かけできないのが、とても残念です。

でも、もし見かけたら、外見は、多少くたびれていても、壊れるところが少ないので、てに入れてみては、いかがでしょうか。

 

これまでのクロスオーバのメンテナンスは下記よりご参照いただけます。

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ナカミチ クロスオーバ EC-200 カスタム・メンテナンス 2021-06

小型で使いやすいクロスオーバネットワークEC-200のカスタマイズを行いました。
2Wayのクロスで、サブウーファを追加する際、シンプルな機能でとても使いやすくデザインされています。

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 はじめに

ナカミチのクロスオーバは、周波数の切り替えは、全てスイッチにより設定します。

本EC-200もボリュームに見えますが、セレクタスイッチで的確に周波数を切替えます。

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実は、上記の写真は、底面側で

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正面のつまみは

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整然と配置され、直視せずに操作も容易です。

ボリュームに、クリック感があるタイプで、とても調整がしやすいです。

 

 

仕様

EC-204の仕様を調べてみました。

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同じ2WayのクロスオーバのEC-204と比べてみました。

わずかに違いがありますが、基本性能歪や、SN比は、同等で素晴らしい仕様です。

入力インピーダンスは高めですので、高めのインピーダンスのヘッドユニットもきっちり受け取ってくれるでしょう。

 

素性確認

簡単に、状態を確認してみます。

周波数特性

周波数特性を簡単に測定してみました。

設定
 High:50Hz
 Low:220Hz

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コンパクトながらとても素晴らしい性能です

微小信号(-60dB)

SNを見るため微小信号-60dBを観測してみます。

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拡大していますので、少しノイズが見えます。ですがとても良好な状態です。

電源確認

一次側

電源回路を確認してみます。

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電源はプッシュプルのDCコンバータが搭載されています。ACが出力され、外部で整流し、DCを生成してます。

入力のコンデンサは、省略されていました。

電源状態を確認してみると

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多少みられますが、良好です。コンデンサを割愛しても実質問題は無いでしょう。

二次側

二次側を確認してみます。

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リップルが観測できますが、とても良好な状態といえます。

 

二次側(フィルタ後)

フィルタを介した後、OpAmpに供給されます。

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ノイズは、殆ど消え、良好です。

OpAmp電源

実際のOpAmpの電源を観測します。

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少し見られますが、パスコンを追加することで、測定限界になりそうです。

カスタマイズ

カスタマイズは、波形を観測しながら、部品交換をしてみます。

一次側

コンデンサを取り付けられるようになっていますので、高分子タイプをつけてみました。

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良好ですね。

二次側

コンデンサを電源用低ESRに変更

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想定の効果が確認できました。

二次側(フィルタ後)

フィルタ後のコンデンサも高分子タイプに変更。

念の為フィルタ後の波形を行いました。

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測定限界ですので、同等ですが、問題が無いことが確認できました。

(時折、発振等が起こる場合があります)

OpAmp電源

いつものようにOpAmpの電源にセラコンを取り付けました。

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ラジラルリードタイプのセラコンは、取り付けが簡単で効果バツグンです。

微小信号

さて、これまでの地道な対策が出力波形に現れるでしょうか。

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僅かですがノイズが小さくなったと思います。測定のプローブで拾うノイズが小さくなったかもしれませんが、放射ノイズが小さくなった証として判断して良いと思います。

 

まとめ

じつは、EC-204を中心に扱ってきたので、あまりEC-200を注視していませんでした。

ですが、測定結果をみると、そのサイズを超えた実力が隠されていたことが分かりました。

なかなか、見かけることができないEC-200ですが、小型で、手元において調整が簡単にできるのはとても良いと思います。

最後に、OpAmpを低歪でリーズナブルなOPA1652に交換して、仕上げました。

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注意点
  •  ボリュームは、あまり絞らず
    これらのEC-200のボリュームは出力に装着されているので、パッシブボリュームと同じで、絞ってしまうと、音に良くないことがわかっています。

    絞る量は、2,3割程度で調整し、その後、パワーアンプのゲインを調整して、1割以下にすると、理論的に良い方向になります。

  • 入力近傍の大きな電解は、ディレイ用
    入力に大きめの電解コンデンサがついていますが、これはリモートの遅延用です。電源用ではないので、大容量の電解コンデンサは、厳禁です。

 

ご参考になれば、幸いです。

 

EC-200Hもメンテナンスしました。

ナカミチ クロスオーバ EC-200H カスタム・メンテナンス 2021-06 - pp audio blog

同じ様にとても良い性能です。

 

これまでのクロスオーバのメンテナンスは下記よりご参照いただけます。

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